颱風とざくろ

『颱風とざくろ』（たいふうとざくろ）は、昭和期を代表する作家、石坂洋次郎によって1966年に発表された長編小説です。刊行後まもなく、映画およびテレビドラマとして映像化され、幅広い世代にその名を知られることとなりました。

刊行とその経緯

この作品は、まず1966年に講談社から単行本として刊行されました。その後、翌1967年には新潮社から刊行された『石坂洋次郎文庫』の第19巻に収録され、広く読まれるようになります。さらに1969年には角川書店から角川文庫版が登場し、より多くの読者が手軽に手に取れるようになりました。

映画版

小説発表の翌年、1967年9月15日には東宝によって映画化され公開されました。この映画は、東宝創立35周年を記念する作品群の一つとして製作されています。

映画の監督は須川栄三が務め、脚本は井手俊郎、音楽は伊部晴美が担当しました。主人公の桑田英子を星由里子が演じ、坂本二郎役には黒沢年男、坂本一雄役には中山仁が配役されました。その他にも、いしだあゆみ、高峰三枝子、清水将夫、田村亮、宮口精二、京塚昌子、森光子、池内淳子といった、当時の東宝を代表するスターや実力派俳優たちが多数出演し、物語を彩っています。映画版は『でっかい太陽』と同時上映されました。

• - 主なキャスト

- 桑田英子：星由里子
- 坂本二郎：黒沢年男
- 坂本一雄：中山仁
- 坂本けい子：いしだあゆみ
- 坂本房子：高峰三枝子
- 桑田直吉：宮口精二
- 桑田ゆみ子：京塚昌子
- 高田直子：森光子
- 川村民子：池内淳子

• - 主なスタッフ

- 原作：石坂洋次郎
- 監督：須川栄三
- 脚本：井手俊郎
- 音楽：伊部晴美

テレビドラマ版

1969年には、日本テレビ系列にてテレビドラマ化され、同年7月5日から9月27日にかけて全13回で放送されました。このドラマ化にあたっては、主人公・英子の実家の役名が、撮影で協力した世田谷区成城の実在する葬儀社に配慮し、「桑田」から「佐久間」に変更されています。

ドラマ版の脚本は倉本聰が手掛け、音楽を山本直純が担当するなど、後の日本のテレビドラマ界で重要な役割を果たすクリエイターが参加しています。主題歌には森山良子の「あこがれ」、挿入歌にも森山良子の「並木よ…」が使用され、作品の抒情性を高めました。監督は藤田繁矢が務め、日活と日本テレビが共同で製作しました。

キャストには、主人公の佐久間英子役に松原智恵子、坂本二郎役に石坂浩二、坂本一雄役に緒形拳が起用されました。そのほか、榊原ルミ、加藤武、葦原邦子、下條正巳、月丘千秋、吉田日出子、岡田真澄、中村玉緒（黒田の妻役）といった、豪華な顔ぶれが揃いました。

• - 主なキャスト

- 佐久間英子：松原智恵子
- 坂本二郎：石坂浩二
- 坂本一雄：緒形拳
- 坂本けい子：榊原ルミ
- 坂本信太郎：加藤武
- 佐久間ゆみ子：坪内美詠子
- 高田謙吉：下條正巳
- 吉田民子：吉田日出子

• - 主なスタッフ

- 原作：石坂洋次郎
- 脚本：倉本聰
- 音楽：山本直純
- 監督：藤田繁矢

映像ソフト

テレビドラマ版は、放送から長い年月を経て、2019年7月31日にベストフィールドから「コレクターズDVD デジタルリマスター版」として発売されました。全13話が収録されていますが、オリジナル原版の一部に欠損があるため、第11話の後半部分はテロップで補われています。

石坂洋次郎の描く青春と家族の物語は、形を変えながらも多くの人々に届けられ、その魅力を保ち続けています。

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