飛騨国分寺

飛騨国分寺：歴史と文化が息づく岐阜高山の寺院

岐阜県高山市に位置する飛騨国分寺は、高野山真言宗に属する由緒ある寺院です。正式名称は醫王山飛騨国分寺といい、山号の「醫」は旧字体を使用します。天平13年（741年）、聖武天皇の詔により創建された国分寺の1つと伝えられ、天平18年（746年）頃には行基によって建立されたとされています。

幾度もの変遷を乗り越えて

創建以来、飛騨国分寺は幾多の困難を経験しました。弘仁10年（819年）には火災で焼失し、その後、斉衡2年（855年）頃には再建されました。室町時代には本堂が再建されていますが、正確な時期は分かっていません。七重塔（現在の三重塔）の再建記録から推測すると、応永年間にも焼失と再建があったと考えられます。天正13年（1585年）には、金森長近による松倉城攻めの兵火によって焼失するも、その後再び再建されました。

三重塔は元和元年（1615年）に再建されましたが、寛政3年（1791年）の暴風雨で倒壊。現在の三重塔は文政4年（1821年）に再建されたものです。また、元禄8年（1695年）に飛騨国が天領となると、高山城の一部が解体され、その資材が飛騨国分寺の鐘楼門などの建築に利用されたという歴史も持ちます。

貴重な文化財の数々

飛騨国分寺には、数多くの貴重な文化財が保存されています。国指定重要文化財には、室町中期に建てられた本堂、平安時代の木造薬師如来坐像、平安時代の木造聖観音菩薩立像、そして太刀（小烏丸の太刀）などがあります。国指定史跡には飛騨国分寺塔跡があり、奈良時代の七重大塔の心礎が確認できます。さらに、樹齢1250年と推定される大イチョウは国指定天然記念物に指定され、「乳イチョウ」と呼ばれて親しまれています。

この他にも、岐阜県指定重要文化財や高山市指定文化財として、数々の仏像や三重塔、国分寺鐘楼門、国分寺表門などが指定されています。江戸時代の円空作と伝わる弁財天像も所蔵されています。

寺院の伽藍と境内

境内には、山門、本堂、大師堂、庫裏、鐘楼堂（鐘門形式）、三重塔、不動堂、庚申堂などの建物が配置されています。庚申堂の横には、2007年に「願掛けなでさるぼぼ」という石像が設置され、古くなったサルボボ人形の供養も行われています。

飛騨国分寺から西約600mの場所には、かつて飛騨国分尼寺があったとされます。その跡地である辻ヶ森三社からは、金堂の礎石などが出土しています。

アクセス

飛騨国分寺は、JR高山本線高山駅、または高山濃飛バスセンターから徒歩5分の場所に位置しています。歴史と自然に囲まれたこの寺院は、飛騨地方を訪れる際にはぜひ訪れてみたい場所です。

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