飯盛山城

飯盛山城（いいもりやまじょう）

飯盛山城は、大阪府大東市と四條畷市にまたがる標高315.9mの飯盛山に築かれた山城で、別名「飯盛城」とも呼ばれます。2021年10月11日に国の史跡に指定され、2017年4月6日には「続日本100名城」にも選定（160番）されています。

概要

飯盛山城は、中世の歴史、特に中世城郭史の研究において重要な役割を果たしています。生駒山脈が河内と大和の国境をなす中、その北西支脈に位置する飯盛山に築かれたこの城は、中世の山城としては大規模で、非常に堅固な要塞でした。全盛期には南北1200m、東西500mにも及び、70以上の曲輪が確認されています。

沿革

南北朝時代

城の起源については、佐々目憲法（僧正憲法）が南北朝時代に築いたという説がありますが、これは紀伊の飯盛山城であるという指摘もあります。

正平3年（1348年）の四條畷の戦いでは、北朝方の高師直が6万の兵を率いて四條に着陣。一方、南朝方の恩地氏が飯盛山城に籠城したとされています。この時期の城は、恒久的なものではなく、臨戦的な陣城だったと考えられています。

戦国時代

天文年間に入ると、畠山義堯が河内を支配し、家臣の木沢長政に命じて飯盛山に城郭を築かせました。この改修によって、臨戦的な陣城から恒久的な居城へと変化したと考えられます。

飯盛城の戦い

足利義維を擁する細川晴元が実権を握る一方で、三好元長と木沢長政の対立が新たな戦乱を引き起こしました。対立の背景には、河内の支配権を巡る争いがあり、木沢長政が守護の畠山義堯から守護職を奪おうとしたことが発覚しました。

怒った義堯は、三好勝宗に依頼して飯盛山城を攻めますが、長政からの援軍要請を受けた細川晴元によって撤兵させられます。しかし、翌年、義堯と勝宗は再び飯盛山城を攻撃し、三好元長にも増援を要請。長政も晴元に援軍を求めますが、畠山・三好連合軍を排除することができませんでした。

そこで晴元は、山科本願寺の法主証如に一揆軍の蜂起を要請し、本願寺門徒を動員。約3万の兵が飯盛山城の攻囲軍を背後から襲い、三好勝宗を含む200余名を討ち取りました。さらに退却する畠山義堯を南河内まで追撃し自害に追い込みました。この一揆軍はさらに勢いを増し、三好元長も殺害し、晴元は勝利しますが、一揆軍の暴走は「天文の錯乱」へと発展します。

三好長慶の居城

木沢長政が三好長慶に討たれた後、畠山氏の重臣・安見宗房が城主となりますが、主君と対立し紀伊へ追放。永禄2年（1559年）、長慶は高政を援護するために兵を挙げ、宗房は大和へ敗走します。その後、長慶は飯盛山城に入城し、大規模な改修を行います。この改修により、現在の城郭になったと考えられています。

翌年、畠山高政は根来衆を率いて反撃を試みましたが、長慶の弟や松永久秀の援軍によって撃退されました。

廃城

三好長慶は飯盛山城を拠点に勢力を拡大しますが、息子や弟の死が相次ぎ、自身も病没。その後、三好三人衆が城を治めましたが、織田信長によって摂河平定が行われると、飯盛山城は畠山秋高の所有となり、遊佐信教の反乱で秋高が殺害されると、信長の攻撃により落城し、廃城となりました。

城郭

飯盛山城の縄張りは、山頂の標高315.9mの高櫓曲輪を中心に、南北に主要な曲輪群、東西に曲輪を配しています。

本曲輪: 高櫓曲輪の北側に位置し、山城では珍しい石垣が見られます。この石垣は、三好長慶の改修時に築かれた可能性があります。
腰曲輪、御体塚曲輪、三本松曲輪、千畳敷曲輪: 本曲輪の北側に位置しています。
千畳敷曲輪: 高櫓曲輪の南側に位置し、在阪FMラジオ送信所が建っています。周辺には堀切や虎口の遺構が残っています。
南丸曲輪、馬場曲輪: 千畳敷曲輪の南側に位置し、馬場曲輪には楠公寺が建っています。

周辺建造物

大東市役所前には三好長慶の銅像が設置されています。

発掘調査

平成28年から平成30年にかけて行われた発掘調査では、大規模な石垣が発見され、石垣で固めた最初の城と言われる小牧山城よりも年代が古い可能性があると推測されています。

飯盛山城から見た眺望

飯盛山は、大阪府内でも有名なハイキングコースとなっており、山頂からの眺望は素晴らしく、多くの登山客が訪れます。

城跡へのアクセス

電車: JR学研都市線 四条畷駅または野崎駅
車: 阪神高速13号東大阪線 水走出入口 → 国道170号（近隣に駐車場なし）
徒歩: JR四条畷駅または野崎駅から、それぞれ約60分の道のりです。

脚注

[参考文献]

『日本城郭大系』第12巻 大阪・兵庫（新人物往来社、1981年3月）
戦国合戦史研究会編『戦国合戦大事典』四（新人物往来社、1989年4月）
『歴史散歩道大東』大東市立歴史民俗資料館
今谷明『戦国三好一族』（洋泉社、2007年4月）
仁木宏・中井均・中西裕樹・NPO法人摂河泉地域文化研究所編『飯盛山城と三好長慶』（戎光祥出版、2015年）

関連項目

外部リンク

国史跡　飯盛城跡について - 四條畷市
大東市のおいたち/大東市の公式ホームページ
* 飯盛山城跡周辺地図/YAHOO!地図情報

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