馬援銅柱

馬援銅柱についての詳細

馬援銅柱（ばえんどうちゅう、ベトナム語: Cột đồng Mã Viện）は、歴史的に重要な遺跡であり、西暦43年に設立されたとされています。この銅柱は、馬援がハイ・バ・チュンの反乱（徴姉妹の反乱）を鎮定した後、交趾郡（現在のベトナム北部）に建てられたもので、中国の漢王朝の最南端を象徴しています。

歴史的背景

伝承によれば、馬援銅柱の名前が初めて文献に登場するのは、晋の時代に書かれた『広州記』です。43年には、馬援が徴姉妹の反乱を平定し、反乱の残党であった都羊を追い詰めました。都羊は投降し、その地域に2本の銅柱を設立して、ここが漢の最南端であることを明示しました。馬援は、銅柱に対して「屈折することがあれば、交趾は滅びる」と天に祈り、これ以降住民たちはその銅柱が壊れることを恐れるようになり、周囲に石を積むことで保護しました。この行動は、その周囲に丘を形成することとなりました。

更に、『隋書』によると、劉方が林邑を討伐するために遠征した際、馬援銅柱を通過したとの記録があります。また、唐代に入ると、元和年間に安南の馬総が新たに銅柱を立て直しています。

所在地に関する議論

馬援銅柱は、南漢が独立して以来、歴史書から徐々にその記載が消えていきました。1272年に元の世祖（クビライ）が越南に派遣した使者は、銅柱の位置を尋ねましたが、大越陳朝の皇帝陳聖宗からは「銅柱は埋もれて久しく、所在は不明」との返答を受け、以降その話は終結しました。

馬援銅柱は実際には存在していませんが、北魏の酈道元の著作『水経注』や、黎崱の『安南志略』など、様々な歴史的文献が銅柱の位置について異なる見解を示しています。19世紀には『欽定越史通鑑綱目』で、馬援が銅柱を設けたという話が史実ではないとされ、疑念が生じています。さらに、ダオ・ズイ・アイン（陶維英）という現代の歴史学者は、今日のゲアン省のヌイタインに銅柱があったと考えています。

後世の言及

江文明が1638年に黎朝から明への使者として派遣された際、崇禎帝との面会がありました。このとき、皇帝が「銅柱は今や苔むし既に緑色だ」と尋ねると、江文明は「白藤江は昔から流血の歴史がある」と応じました。このやり取りは、馬援銅柱が象徴するベトナムに対する中国の支配に関するものであり、白藤江では度々衝突が発生したことを暗に示しています。この応答が皇后または皇帝の怒りを買ったとも言われ、江文明はその後、処刑されたという噂があります。

馬援銅柱は、ただの歴史的遺物に留まらず、当時の政治や文化的な背景を反映した重要な象徴であり、その存在はベトナムの歴史に深く根付いています。

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