馬福祥

馬福祥の生涯と業績

馬福祥（ば ふくしょう）は、清末民初において顕著な存在感を示した軍人であり、馬家軍の有力な指導者です。彼の名前は、清朝から中華民国の移行期における政治や軍事の変動を象徴しています。彼は回族出身で、幼少期にはモスクで学問を学び、その後武術の訓練に励みました。

初期の経歴

馬福祥は、農業と商業を合わせ持つ家庭に生まれました。彼が武術の訓練を始めたのは14歳のときで、1897年には武挙の郷試に合格し、軍人としての道を歩み始めました。1906年には西寧鎮総兵に昇進し、1910年には建威将軍に任じられ、西路の巡防統領として兰州に駐屯しました。

辛亥革命の勃発時、彼は比較的傍観者的な立場に立ち、袁世凱が中華民国の臨時大総統となると、彼に従うことを選びました。1912年には北京政府から寧夏鎮総兵の役職を授与され、「昭武軍」を指揮し、白朗の討伐作戦などで成功を収め、地域の安定に貢献しました。

政治的動向

1920年、安直戦争が勃発すると、馬福祥は安徽派の張広建を排除する「甘人治甘」運動に関与しました。張が失脚した後、甘粛督軍の地位を狙ったものの、漢族の軍人との対立を招いてしまいます。その結果、北京政府の介入により蔡成勲が後任となり、馬福祥は綏遠都統に任命されます。この異動には不満を抱いていましたが、彼の息子馬鴻逵が代理の職に就いたことで、彼は妥協し綏遠へ向かうことになりました。

その後、彼は直隷派と奉天派の争いにおいて、二重の態度で臨みましたが、1924年には馮玉祥指揮の第3路軍に参加し、直隷派と戦いました。直後の北京政変では、馮に従い、直隷派を打破することに成功しましたが、権限が次第に剥奪されていく運命にあります。

国民政府での活動と晩年

国民政府による北伐が成功を収めると、馬福祥は蔣介石に接近し、多くの政治的地位を確保します。最終的には1929年に青島市長に就任し、1930年には安徽省政府の主席に、そしてその年の10月には蒙蔵委員会の委員長に異動されました。彼の在任中、馬福祥は自らの政治力を背景に、馬鴻逵の権力拡大を支援しました。

馬福祥は1932年8月19日に北平で死去しました。享年57歳。彼の遺産は、軍人・政治家としての側面だけでなく、教育や文化に対する貢献にも及びます。具体的には、回族のための小学校やイスラム教系の学校を各地に設立する傍ら、寧夏に初の公共図書館を建設し、地方志の編纂や貴重な古典資料の保護に尽力しました。

結論

馬福祥は、彼の時代において重要な軍人・政治家の一人であり、その活動は今日の中国史においても重要な意味を持つと評価されています。彼の教育や文化事業への貢献は、彼が政治的な力量を超えた影響力を持っていたことを示しています。

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