蒙蔵委員会
蒙蔵委員会について
蒙蔵委員会（もうぞういいんかい）は、かつて中華民国に存在した行政院所属の政府機関です。その主な役割は、中華民国の行政区画における蒙古（モンゴル）地方と西蔵（チベット）地方の管理、および各省に居住するモンゴル族やチベット族に関連する行政、宗教、その他の事務でした。
歴史
蒙蔵委員会の起源は、1912年に中華民国政府が内務部に設置した蒙蔵工作処に遡ります。さらに、そのルーツは清朝時代の理藩院や理藩部にも見られます。
これらの変遷を経て、1928年に南京国民政府が「中華民国政府組織法」を制定した際に、中央政府の組織改編が行われ、現在の蒙蔵委員会が成立しました。
業務内容
中華民国が中国大陸を統治していた時代、蒙蔵委員会は、以下の地域における民族宗教関連事務に従事していました。
特に、1940年のダライ・ラマ14世の即位式典には、当時の蒙蔵委員会主任であった呉忠信を団長とする使節団を派遣。式典後も「中華民国蒙蔵委員会駐蔵辦事処」としてラサに駐在し続けました（1948年に強制退去）。
国共内戦後の状況
1949年、国共内戦の敗北により中華民国政府が台北に移転すると、蒙蔵委員会は中国大陸での業務遂行が不可能となり、その権力は大きく低下しました。しかし、中華民国政府が「中国の正統な国家」としての立場を維持し続けたため、蒙蔵委員会は存続し続けました。
1949年以降、蒙蔵委員会は主にチベット亡命政府との交流や、モンゴル人民共和国（現在のモンゴル国）との経済、教育、文化関連の交流に携わってきました。ただし、2002年に中華民国政府がモンゴル国の独立を実質的に承認したことで、蒙蔵委員会の業務範囲は以前より狭まっています。
廃止
2017年、中華民国政府は2018年度の予算を計上しないことを決定し、蒙蔵委員会を廃止する法案を立法院に提出しました。そして、以下のスケジュールで組織解体が行われました。
- - 2017年9月15日：業務が文化部所管の蒙蔵文化センター、外交部、大陸委員会へ移管。
- - 2017年11月28日：立法院が「蒙蔵委員会組織法」廃止法案を可決。
- - 2017年12月13日：蒙蔵委員会が正式に廃止。
庁舎
蒙蔵委員会の庁舎は、台北市中正区徐州路5号に位置していました。最寄りの公共交通機関は、台北捷運台大医院駅です。
まとめ
蒙蔵委員会は、中華民国の歴史において、モンゴル族やチベット族に関する行政や文化、宗教といった多岐にわたる分野で重要な役割を果たした機関です。その歴史は清朝時代にまで遡り、複雑な変遷を経て最終的には廃止されましたが、その存在は中華民国の歴史を語る上で欠かせない要素の一つと言えるでしょう。
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