馬致遠

馬致遠（ば ちえん）について

馬致遠は、元曲の著名な作家であり、代表作の一つである『漢宮秋』を含む、数多くの作品を残しました。彼は関漢卿、鄭光祖、白仁甫と共に元曲の重要な作家の一人として知られており、特に朱権の著書『太和正音譜』では、彼を「群英の上に列すべし」として最高の元曲作家と称賛しています。

略歴

馬致遠は大都の出身で、号は東籬老です。彼は王国維が述べるところの第1期の元曲作家の一人として位置付けられています。この時期の元曲は、後の文学や演劇の発展に大きな影響を与えました。馬致遠の作品には、歴史劇や道教劇が多く含まれ、深く考察されることが多い点が特徴です。

主な作品

現存する彼の作品は、7種類の雑劇として知られており、これらはすべて『元曲選』に収められています。特に、馬致遠の劇作には道教の要素が色濃く反映されており、彼自身が「馬神仙」と呼ばれることもあるほどです。ここでは彼の代表的な作品をいくつか紹介します。

漢宮秋

『漢宮秋』は、王昭君と元帝との物語を扱った劇で、馬致遠の代表作の一つです。夫婦や愛の切なさが描かれており、物語の中での人間ドラマがつまっています。

青衫涙

この作品は白居易の『琵琶行』を題材としており、音楽や詩が重要な役割を果たします。青衫と呼ばれる衣装に纏わる感情の変化が描かれ、観客を引き込む魅力があります。

薦福碑

『薦福碑』は、貧しい書生が欧陽詢の碑の拓本を使って生計を立てようとする物語です。しかし、その碑が雷によって砕けるという意外な展開が起こります。この話は宋代の逸話に基づいています。

陳摶高臥

陳摶と宋の太祖との関係が描かれたこの劇は、歴史的背景を通じて人間関係の複雑さを探求しています。様々なキャラクターの視点から物語が展開されます。

任風子

屠殺人である任屠の出家というテーマを扱った道教劇で、宗教的なテーマが色濃く反映されています。人生の意味や救済について考えさせられる内容です。

岳陽楼

呂洞賓が岳陽楼で柳と梅の精を修行させる道教劇は、幻想的な要素が満載です。神秘的な対話や哲学的なテーマが織り交ぜられています。

黄粱夢（合作）

『枕中記』に基づく道教劇で、鍾離権が呂洞賓を出家させる話を描いています。馬致遠はこの作品の第1折を担当しており、彼の独特の視点が光っています。

まとめ

馬致遠の作品は、元代文学の重要な部分を形成しており、特にその多様なテーマや道教的要素は、後世の作家たちに大きな影響を与えました。また、彼の作品は演劇としても高く評価され、現在でも多くの観客に愛されています。彼の作品を通じて、中華文化の深さや豊かさを感じることができるでしょう。彼の生涯と作品をより深く理解することで、元曲の世界がより身近になるのではないでしょうか。

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