王国維

王国維の生涯と業績

王国維（おう こくい、1880-1927）は、清末から民国初期にかけて活躍した中国の学者・思想家です。彼は多くの分野、特に中国文学、中国史学、考古学、美学、哲学に関する研究を行い、近代中国学の重要な開拓者の一人として知られています。彼は特に甲骨文字の研究において傑出した業績を上げており、羅振玉、董作賓、郭沫若と共に「甲骨四堂」と称される存在でした。彼の本名は王国維、字は静安または伯隅、号は観堂です。

生い立ちと学問の歩み

王国維は浙江省杭州府の海寧州で生まれました。1882年には私塾で学び始め、1893年には秀才として認められました。彼の学問の道は、1899年に上海で変法派の雑誌『時務報』での勤務を経て本格的にスタートします。当時、彼は羅振玉の東文学社で外国語や学問に関する新しい知識を吸収していきます。

1901年には東京物理学校に留学しましたが、健康を崩し翌年には帰国しました。その後、1903年から通州師範学堂や江蘇師範学堂で哲学や心理学を教え、自身の学問を深めていきました。この頃、彼は『紅楼夢評論』など美学や哲学に関する多くの論文を発表し、1905年にはそれらをまとめた『静安文集』が出版されました。

1907年には北京へ移り、学部図書館の編纂や名詞館の協修を任され、同時に『人間詞話』や『宋元戯曲考』といった重要な著作を執筆しました。1911年、辛亥革命の際には日本に逃れ、その後1916年に帰国して上海の倉聖明智大学で教授として教壇に立ちました。

清華大学での研究と教育

1917年には『殷周制度論』を発表し、1923年には清朝最後の皇帝愛新覚羅溥儀に招かれ、「南書房行走」という役職に就任します。さらに1925年には清華大学国学研究院の教授となり、中国古代の石刻文や歴史資料の研究を行いながら、経学や史学の講義を担当しました。彼は梁啓超、陳寅恪、趙元任と共に清華大学の「四大導師」として称賛されました。

最期と遺産

1927年、王国維は頤和園の昆明池で入水自殺を遂げました。彼の死因についてはさまざまな憶測があり、学問と思想の世界における影響力を持っていた彼の行動に対する研究が続けられています。

著作

王国維は多くの著作を残しており、以下のような作品が有名です：

• - 『海寧王静安先生遺書』
• - 『紅楼夢評論』
• - 『宋元戯曲考』
• - 『人間詞話』
• - 『観堂集林』
• - 『古史新証』
• - 『曲録』
• - 『殷周制度論』
• - 『簡牘検署攷』（1912年）
• - 『流沙墜簡』（1914年、羅振玉共著）

彼の業績は中国の学問界に大きな影響を与え、今なお多くの研究者たちによって評価されています。

関連項目

• - 殷墟
• - 金石学
• - 中国の書論

王国維の生涯と学問に関連する文献も多く出版されており、彼の思想や研究を深く理解するための資料が多数存在しています。

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