馬麟 (民国)

馬麟（ば りん）

馬麟は、清朝末期から民国初期にかけて活躍した軍人であり、馬家軍の有力な指導者として知られています。彼の字は勲臣で、回族の出身です。兄に馬麒を持ち、甥には馬歩青、馬歩芳、馬仲英がいます。

生涯

幼少期にはモスクで学問に励み、その後、武官であった父の馬海宴に従い軍に入隊しました。1906年頃には一時的に商業に転じましたが、1911年に軍へ復帰し、西寧鎮標左路統領に任命されました。その後、寧海軍で幇統兼左路統領、歩兵第2営管帯を歴任しました。

1919年には寧海軍玉樹防務支隊司令に就任、1921年には甘辺寧海鎮守使署参謀長へと異動しました。1925年、寧海軍は馮玉祥率いる国民軍に編入され、国民軍新編第26師副師長に任命されました。1926年には甘辺寧海護軍使署参謀長を務めました。

1929年2月、馬麟は青海省政府委員兼建設庁長に任命され、翌年には甘粛全省保安司令に就任しました。また、騎兵第1師師長を兼任し、蘭州に駐屯しました。1931年8月、兄の馬麒が死去したため、青海省に戻り、代理青海省政府主席となりました。1933年3月には正式に省政府主席に任命され、7月には省政府民政庁長も兼任しました。さらに、西安行営第2防区司令も務めました。1935年11月には、中国国民党第5期候補中央監察委員となりました。

しかし、1936年5月、馬麟は甥であり馬麒の子である馬歩芳との対立により、青海省政府主席の地位を事実上奪われることになります。馬歩芳が正式に省政府主席を継承するのは1938年3月でした。失意の中、馬麟は同年11月にメッカへの巡礼へと出発し、帰国後は故郷で生活を送りました。1937年10月には、国民革命軍第17集団軍副司令として復帰、翌年3月には国民政府委員にも任命されました。

1945年1月26日、馬麟は病のため死去しました。享年70歳でした。

馬麟の生涯は、清末から民国初期という激動の時代を背景に、軍人としてのキャリアだけでなく、政治家としても重要な役割を担った人物として特筆されます。彼の家族や親族もまた、この地域の歴史において重要な存在であり、その影響は大きいものでした。

参考文献

魏明章「馬麒」中国社会科学院近代史研究所『民国人物伝 第12巻』中華書局、2005年。ISBN 7-101-02993-0。
徐友春主 編『民国人物大辞典 増訂版』河北人民出版社、2007年。ISBN 978-7-202-03014-1。
* 劉寿林ほか 編『民国職官年表』中華書局、1995年。ISBN 7-101-01320-1。

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