高向麻呂

高向 麻呂（たかむこ の まろ）

高向麻呂は、飛鳥時代における重要な公卿の一人です。彼の名は「摩呂」とも表記され、もともとは姓が「臣」であったが、天武天皇の時代に新たに「朝臣」という姓に改変されました。彼の父は刑部尚書である高向国押で、家系においても高い地位を持つ家柄でした。

経歴の概要

麻呂の官歴は、彼が公的な活動を始めた681年から始まります。天武天皇の治世、彼は12月29日に小錦下に叙せられ、仕官の道を歩み始めました。

684年には新羅に遣わされ、新羅大使として重要な役割を果たしました。この任務は、当時の国際関係を築く上で特に重要であり、彼の外交手腕が試された瞬間でもありました。

同年の10月には「八色の姓」の制度の導入に伴い、「臣」から「朝臣」へと改姓しました。この制度は、奈良時代の貴族の地位を明確にするために設けられたもので、麻呂にとっても重要な意味を持つ変化でした。685年には、学問僧である観常や雲観を伴って帰国し、新羅からの献上品を持ち帰ったことで、彼の外交的な成果がもたらされました。

701年には大宝元年の大宝令の施行に影響を受けて、従四位上に叙せられ、702年には参議に任命されました。これにより麻呂は直接的に国家の政務に関与する立場となり、その後の官歴において重要な役割を果たします。705年、彼は正四位下に昇進し、更に中納言の地位にも就きました。

そして708年に従三位・摂津大夫に叙任されましたが、同年の閏8月5日に彼は亡くなってしまいました。麻呂の最終的な官職は摂津大夫に従三位でした。

官歴の詳細

高向麻呂の官歴は以下の通りです。

• - 681年（天武天皇10年）12月29日：小錦下
• - 684年（天武天皇13年）4月20日：遣新羅大使
• - 684年（天武天皇13年）11月1日：臣から朝臣に改姓
• - 時期不詳：従四位上
• - 702年（大宝2年）5月21日：参議
• - 時期不詳：正四位下
• - 705年（慶雲2年）4月22日：中納言
• - 708年（和銅元年）正月11日：従三位
• - 708年（和銅元年）3月13日：摂津大夫
• - 708年（和銅元年）閏8月5日：薨去

系譜

麻呂の父、高向国押については名前が知られていますが、母についての記録は存在していません。また、彼には高向色夫智、高向大足、高向人足という三人の男子が子供としており、彼の家系は一族の中でも重要な存在として続いていくことになります。

参考文献

• - 宇治谷孟『日本書紀 （下）』講談社
• - 宇治谷孟『続日本紀 （上）』講談社
• - 宝賀寿男『古代氏族系譜集成』古代氏族研究会

高向麻呂はその生涯を通じて、学問や外交において顕著な貢献をした公卿として、飛鳥時代の歴史に名を刻んでいます。

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