高塚新田

高塚新田（たかつかしんでん）

千葉県松戸市に位置する高塚新田は、東葛台地の南端に広がる地域です。かつては「陸の孤島」と呼ばれる農村地帯でしたが、1970年代以降に急速な開発が進み、住宅地が広がりました。しかし、今もなお多くの農家が残り、特産品である梨を栽培する観光農園も点在しています。

地理

高塚新田は、松戸市の東南部に位置し、東は市川市、西は松戸市秋山、南は市川市、北は松戸市紙敷と隣接しています。地域の東側にはJR武蔵野線が、北側には北総鉄道北総線が走っていますが、駅は設置されていません。しかし、北総線秋山駅とは国道464号を挟んで隣接しており、交通の便は比較的良好です。また、京成バスや新京成バスが、JR総武線本八幡駅、京成八幡駅、JR市川駅、JR東[[松戸駅]]、JR松戸駅などへの路線バスを運行しています。

小字

高塚新田には、新田前、清原、壱本松、突棚、小濱屋敷、居向、天神山、中ノ窪、一ノ谷、木戸前、八町分、赤作、野中、髙札場、野貝塚、背上、八幡越、傘棒、稲越前、駒形、丸山、池ノ臺、北谷臺、受原、内野、新堀込、中臺といった小字が存在します。

歴史

江戸時代

江戸時代、この地は小金牧の中野牧の外れに位置し、「高塚原」と呼ばれていました。周囲の村々が開発される中、原野として残されていましたが、江戸時代前期に開発が許可され、延宝4年（1676年）に「高塚新田」が成立しました。検地帳によると、当初は畑作が中心でしたが、地質が悪く、野火や鳥獣の被害も多かったため、荒廃が進みました。生活は厳しく、粟や稗、芋などを主食とする生活を送っていたようです。一方で、農間商売を行う人もおり、中には居酒屋を営む者もいました。また、松戸宿などの助郷も命じられ、負担が増加していきました。

近現代

明治維新後、高塚新田は千葉県の一部となり、明治22年（1889年）に周辺の村々と合併して東葛飾郡八柱村となりました。その後、梨栽培が盛んになり、昭和13年（1938年）に松戸町と合併、昭和18年（1943年）には松戸市の一部となりました。鉄道とは縁遠い地域でしたが、昭和46年（1971年）の市川松戸有料道路の開通や、日本住宅公団による団地建設を機に人口が急増しました。また、昭和17年（1942年）には、旧東京市により「東京市松戸療養所」が開設され、後に国立療養所松戸病院、現在の松戸市立福祉医療センター東松戸病院へと変わりました。この病院は、日本初のホスピスを開設したことでも知られています。武蔵野線や北総線の開通により、交通の利便性が高まり、住宅地としての発展がさらに進む一方で、古くからの梨農家も観光農園として賑わいを見せています。

地名の由来

高塚新田の地名は、治承・寿永の乱で活躍した名馬生月の墳丘「高塚」に由来するという説や、小高い場所にあった鎮守八幡神社の木々が遠く行徳沖からも見えたことに由来するという説があります。

現在

高塚新田は、住宅地としての発展とともに、梨の観光農園も盛んな地域です。都市近郊でありながら、自然も豊かな場所として、多くの人に親しまれています。

施設

高塚新田には、松戸市東部支所、東部市民センター、東部スポーツパーク、東部クリーンセンター、松戸市立図書館東部分館、高塚わかば幼稚園、高塚幼稚園、松戸市役所梨香台保育所、松戸市立東部小学校、松戸市立梨香台小学校、松戸市立第五中学校、松戸市立福祉医療センター東松戸病院、秋山駅前郵便局、松戸梨香台郵便局、高塚団地、梨香台団地などの施設があります。

地価

住宅地の地価は、2014年1月1日の公示地価によると、高塚新田字北谷台641番52の地点で9万2000円/m2となっています。

参考文献

「角川日本地名大辞典」編纂委員会 編『角川日本地名大辞典 12』（千葉県）（角川書店、1984年）
『日本歴史地名大系 12 千葉県の地名』（平凡社、1996年）

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