高島直之

高島直之（たかしま なおゆき）氏は、1951年宮城県生まれの美術評論家であり、武蔵野美術大学名誉教授です。同大学芸術文化学科教授を2022年に退官されました。

高島氏のキャリアは多岐に渡ります。武蔵野美術短期大学デザイン科商業デザイン専攻卒業後、1978年には週刊書評紙「日本読書新聞」編集部に入社。編集者として6年間勤務し、学術書評欄を担当する傍ら、美術、デザイン、写真、建築といった幅広い分野の記事を企画しました。編集長も務めた後、近現代美術やデザイン史を専門とする美術批評家としての道を歩み始めます。

批評活動と並行し、キュレーターとしての活動も精力的に行っています。ギャラリーαMでは、1994年から1995年、そして2001年から2002年にかけてキュレーターを務め、企画展の開催などを通して現代美術の振興にも貢献しました。

高島氏の活動は、著作物にも顕著に表れています。単著として『中井正一とその時代』（青弓社、2000年）、『芸術の不可能性: 瀧口修造 中井正一 岡本太郎 針生一郎 中平卓馬』（武蔵野美術大学出版局、2017年）、『イメージか モノか: 日本現代美術のアポリア』（武蔵野美術大学出版局、2021年）などがあり、いずれも日本の近現代美術を深く掘り下げた内容となっています。

さらに、共著も多く手掛けています。『1960年代グラフィズム』（印刷博物館、2002年）、『日本近現代美術史事典』（東京書籍、2007年）、『1950年代日本のグラフィックデザイン──デザイナー誕生』（国書刊行会、2008年）、『中平卓馬　来たるべき写真家』（河出書房新社、2009年）、『現代アート事典』（美術出版社、2009年）、『1968年文化論』（毎日新聞社、2010年）など、多様な分野を網羅した共著を通して、美術史研究の発展に貢献しています。

また、監修や編集にも携わっており、『デザイン史を学ぶクリティカルワーズ』（フィルムアート社、2006年）の監修や、高松次郎『世界拡大計画』（水声社、2003年）の編集など、幅広い活動を通して美術界に貢献しています。

企画活動においても、2000年から2001年にかけて「αMプロジェクト2000-2001 高島直之、林卓行、松本透」、1994年から1995年にかけて「αMプロジェクト1994-1995 高島直之」などを主導し、現代美術の新たな潮流を創出する役割を果たしました。

高島直之氏の活動は、単なる美術評論家の枠を超え、教育者、キュレーター、編集者、企画者としての多様な役割を担い、日本の美術史研究、ひいては美術界全体の発展に大きく寄与していると言えるでしょう。その幅広い知識と深い洞察力は、今後の美術研究においても重要な指針となるに違いありません。

もう一度検索