高琛

高琛（こう ちん）

高琛（生没年不詳）は、東魏の権臣として知られる高歓の異母弟であり、趙郡王の地位にありました。字は永宝または元宝と称し、渤海郡蓨県を本貫とします。

生涯

高琛は高樹生と後妻の間に生まれました。北魏の中興元年（531年）に散騎常侍、鎮西将軍、金紫光禄大夫に任じられ、そのキャリアをスタートさせます。宮廷の禁衛として真面目に勤務し、常に率先して行動する姿は、周囲の模範となりました。太昌元年（532年）には車騎大将軍、左光禄大夫に昇進し、南趙郡公に封じられます。同年10月には、驃騎大将軍、特進、開府儀同三司、散騎常侍に任じられるなど、急速に昇進を重ねました。

永熙2年（533年）には、使持節、定州刺史、六州大都督となり、その行政手腕を発揮します。高琛は才能ある人材を積極的に登用し、その声望を高めました。永熙3年（534年）に斛斯椿らが反乱を起こすと、高歓はこれを討伐するため、本拠地である晋陽の留守を、高琛に任せます。高琛は并肆汾大行台僕射、六州九酋長大都督に任ぜられ、相府の行政を全て決裁する重責を担いました。東魏の天平年間には、御史中尉として身分の上下を問わず不正を糾弾し、朝廷内を引き締めました。

しかし、その後、高歓の側妻（小爾朱氏）と姦通したことが発覚し、高歓の怒りを買い、鞭打ちの刑を受けて死去しました。享年23歳という若さでした。死後、その功績を認められ、使持節、侍中、都督冀定滄瀛幽殷并肆雲朔十州諸軍事、驃騎大将軍、冀州刺史、太尉、尚書令の位が贈られました。諡は貞平とされました。天統3年（567年）には、さらに仮黄鉞、左丞相、太師、録尚書事、冀州刺史の位が追贈され、爵位は趙郡王に進みました。

高琛の死後、子の高叡が跡を継ぎました。また、高琛の妻である元季艶（元懐の娘、東魏の華陽長公主）は、趙郡王妃の位を贈られ、貞昭と諡されました。

高琛は若くしてその才能を発揮し、東魏の政治に大きく貢献しましたが、悲劇的な結末を迎えました。彼の短い生涯は、東魏の歴史において重要な出来事として語り継がれています。

参考文献

『北斉書』中華書局、1972年。ISBN 7-101-00314-1。
『北史』中華書局、1974年。ISBN 7-101-00318-4。
* 『魏書』中華書局、1974年。ISBN 7-101-00313-3。

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