高速はこだて号

高速はこだて号

「高速はこだて号」は、北海道の二大都市である札幌と函館を結ぶ主要な都市間高速バスです。現在は北海道中央バス、北都交通、函館バスの3社が共同で運行しています。この路線は、かつてそれぞれ独立して運行されていた「オーロラ号」と「オーシャンドリーム」という二つの路線を統合する形で誕生しました。

路線の成り立ち

オーロラ号

札幌と函館を結ぶバスの歴史は、1984年に北都交通が開始した会員制ツアーバス「オーロラ号」に遡ります。当時の北海道運輸局が貸切バス事業の活性化策として推奨した会員制定期バスとして運行を開始しました。夜行バスとして設定され、日本近距離航空（現エアーニッポン）との連携による航空機との周遊パックも提供されていました。

オーロラ号の運行形態にはユニークな点がありました。複数台運行時には、交代運転士と車掌が乗務する車両が混在し、特に交代運転士は全ての車両に対応可能な体制をとっていました。また、乗務員は途中のドライブインで上下便が交代する「往復運転」という方法を採用していました。1984年後半には、会員制定期バスに対する規制強化を受けて乗合運送の特別許可を取得し、1990年には正式な乗合バス路線となりました。1986年に函館本線の普通夜行列車が廃止された後は、札幌・函館間の唯一の夜行公共交通機関となり、JR北海道が1988年に夜行快速「ミッドナイト」を運行開始する際に、バスにはない「カーペットカー」を連結するなど、強く意識される存在でした。

オーシャンドリーム

一方、1993年には北海道中央バスと道南バスが共同で「オーシャンドリーム」の運行を開始しました。こちらも昼行便と夜行便が設定され、昼行便の一部区間では道央自動車道を経由し、当時の所要時間は昼行便が約5時間20分、夜行便が約6時間05分でした。札幌側は札幌ターミナル発、札幌駅前ターミナル着（後に駅前ターミナル発着に統一）、函館側は函館駅前バスターミナル発着でした。高速道路の延伸に合わせて経路変更や所要時間短縮が行われ、地下鉄大谷地駅への乗り入れや湯の川温泉への延伸も実施されました。

高速はこだて号の誕生と変遷

2003年4月21日、競争関係にあった「オーロラ号」と「オーシャンドリーム」が統合され、「高速はこだて号」として新たなスタートを切りました。これにより、北海道中央バス、道南バス、北都交通の3社による共同運行体制が確立されました。統合当初は昼行5往復、夜行1往復が設定され、発着地は中央バス札幌ターミナルと湯の川温泉（啄木亭前）に統一されました。

その後、停留所の新設や変更、運行経路の見直しが度々行われました。2006年には道央自動車道国縫IC - 八雲IC間の開通により所要時間が短縮されました。2016年3月26日の北海道新幹線開業に合わせて、全便が新函館北斗駅を経由するようになりました。また、運行会社の変更もあり、2020年4月からは函館バスが新たに共同運行に加わり4社体制となりました。

しかし、2023年6月に八雲町で発生した事故は、運行体制に大きな影響を与えました。この事故を受け、同年10月1日にはダイヤ改正が実施され、運行本数が4往復に大幅に減便（夜行便は廃止）され、同時に道南バスが共同運行から撤退し、再び3社体制となりました。また、この改正から変動制運賃が導入されています。

現在の運行概要

現在の運行は、札幌駅前を発着とし、大谷地駅、八雲、森町、新函館北斗駅、道の駅なないろ・ななえなどを経由し、五稜郭や函館駅前ターミナル、湯の川温泉を結んでいます。2023年10月以降は1日4往復（昼行便のみ）での運行となっています。札幌駅前ターミナル閉鎖に伴い、札幌駅周辺の乗降場所も変更されています。

使用される車両は主に28～30人乗りの3列独立シート車ですが、一部仕様が異なる車両も存在します。乗車は予約制で全席指定となっており、バス会社窓口、インターネット予約サイト「発車オ〜ライネット」、コンビニエンスストア設置端末、旅行会社などで予約・購入が可能です。ただし、SAPICAなどの各種交通系ICカードは利用できません。

過去には「オーロラ号」での軽食・飲み物サービスや、「オーシャンドリーム」での弁当予約販売といったサービスが行われていましたが、現在は実施されていません。函館側の終点である湯の川温泉周辺には、早朝から利用できる温泉施設があり、バス利用後の利便性を提供しています。

関連情報

札幌～函館間では、北海道バスが運行する「函館特急ニュースター号」も競合路線として運行しています。また、「オーロラ号」時代には、テレビ番組「水曜どうでしょう」の企画で出演者が乗車したことでも知られています。

もう一度検索