魏詠之

魏詠之（ぎ えいし、生年不詳 - 405年）は、中国東晋時代の軍人です。字は長道、本貫は任城郡でした。

経歴

貧しい家に生まれた魏詠之は、耕作に従事しながらも学問に励みました。彼は生まれつき上唇が縦に裂けているという特徴があり、人相見はその異相を見て、将来の富貴を予言したと伝えられています。18歳のとき、荊州刺史の殷仲堪が、有名な医者に魏詠之の上唇を見せて治療させたという逸話も残っています。

魏詠之は、はじめ兗州主簿となりました。その後、桓玄と面会しましたが、桓玄は魏詠之を凡庸な人物とみなし、任用しませんでした。元興2年（403年）に桓玄が帝を称すると、魏詠之は劉裕と桓玄打倒の計画を協議しました。元興3年（404年）に劉裕らが桓玄を撃破すると、魏詠之は建威将軍・豫州刺史に任じられました。桓歆が歴陽に進攻してくると、魏詠之は兵を率いてこれを撃退する功績を挙げました。

義熙元年（405年）には、征虜将軍・呉国内史に進み、ほどなくして荊州刺史・持節・都督六州に転じ、南蛮校尉を兼ねました。魏詠之は庶民から顕位に上り詰めましたが、貧しい出自を恥じることなく、また富貴に驕ることもありませんでした。同年の11月に、在官のまま死去。太常・散騎常侍の位を追贈され、江陵県公に追封されました。諡は桓。


魏詠之は、逆境を乗り越え、自らの才能と努力によって高位に上り詰めた人物として知られています。また、その人柄も質素で謙虚であり、多くの人々に慕われたと伝えられています。彼の生涯は、身分に関わらず、努力すれば成功できるという希望を与えてくれるでしょう。

伝記資料

* 『晋書』巻85 列伝第55

もう一度検索