鷹司冬教

鷹司 冬教（たかつかさ ふゆのり）

鷹司冬教は、鎌倉時代後期から南北朝時代初期にかけて、日本の朝廷で重要な役割を果たした公卿です。彼は太政大臣・鷹司基忠の三男であり、兄・冬平の養子となりました。冬教の官歴は素晴らしく、彼は従一位に叙せられ、関白や左大臣などの高い地位にも登りつめました。通称は後円光院関白です。

経歴

冬教は、延慶2年（1309年）4月に元服し、正五位下に任ぜられたのが公卿の道の始まりです。この時、彼はわずか5歳でしたが、すぐに右近衛中将に任命され、さらには従四位下、正四位下、従三位と昇進していきました。

彼の成長を見守るかのように、延慶3年（1310年）には権中納言として正三位に昇進します。さらに、応長元年（1311年）には従二位・権大納言に任じられ、応長2年（1312年）には正二位に至りました。

その後の経歴においても、彼は多くの重要な役割を担い、元応2年（1320年）には左近衛大将、元亨2年（1322年）には内大臣として活動しました。元亨4年（1324年）には左大臣に任ぜられ、その後も東宮傅などの役職を歴任しました。

嘉暦2年（1327年）には養父の冬平が亡くなり、彼は次第にその影響を受けるようになります。嘉暦4年（1329年）には従一位に叙されましたが、元徳2年（1330年）には関白の地位を一時辞退せざるを得なくなりました。それでも同年8月には関白に再任されます。しかし、元弘3年（1333年）には後醍醐天皇の詔により関白を解任されることとなってしまいます。

建武元年（1334年）には右大臣、建武2年（1335年）には再び左大臣に任命されましたが、後に職を辞去しました。彼は建武の新政の崩壊後の1337年に33歳で亡くなります。彼の死後、跡を継ぐ者がいなかったため、甥の師平を養子として迎え入れました。

人物像

鷹司冬教は、和歌や文学にも秀でており、『続千載和歌集』などの勅撰[[和歌集]]に彼の作品が確認されています。彼の文化的才能は当時の貴族社会において特に称賛されました。

冬教の家族や系譜もまた興味深い。父は鷹司基忠、母は衣笠経平の娘であり、養父は冬平です。また、彼の妻は一条内実の娘であり、その子として鷹司師平が誕生しました。

官歴

延慶2年（1309年）
4月：元服、正五位下に叙され、禁色を聴す。
4月27日：右近衛少将。
6月12日：右近衛中将。
8月10日：従四位下。
10月12日：正四位下。
11月23日：従三位。
延慶3年（1310年）
2月8日：権中納言。
5月11日：正三位。
応長元年（1311年）
閏6月26日：従二位。
12月21日：権大納言。
応長2年（1312年）
3月3日：正二位。
元応2年（1320年）
4月12日：左近衛大将。
元亨2年（1322年）
8月11日：内大臣。
元亨4年（1324年）
4月27日：左大臣。
嘉暦2年（1327年）
1月19日：服解（父）。
嘉暦4年（1329年）
1月5日：従一位。
元徳2年（1330年）
8月25日：関白宣下。
元弘3年（1333年）
5月17日：関白辞職。
建武元年（1334年）
10月9日：右大臣。
建武2年（1335年）
2月16日：左大臣。

系譜

父：鷹司基忠（1247-1313）
母：衣笠経平の娘
養父：鷹司冬平（1275-1327）
妻：一条内実の娘
養子：鷹司師平（1311-1353）

参考文献

上田正昭他『日本人名大辞典』講談社、2001年
村田正志「鷹司冬教」『国史大辞典 9』吉川弘文館、1988年

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