鹿児島開発事業団

鹿児島開発事業団

鹿児島開発事業団は、かつて鹿児島県に存在した地方開発事業団（特別地方公共団体）です。1965年（昭和40年）5月22日に鹿児島県、鹿児島市、谷山市の出資によって設立され、宅地開発事業、公有水面埋立事業、公共用地造成事業、流通業務団地造成事業、臨海工業用地埋立事業、万之瀬川導水事業など、広範な事業を行っていました。1993年（平成5年）3月31日に解散しました。

概要

鹿児島開発事業団は、地方自治法第298条に基づき設立された特別地方公共団体でした。設立当初は、吉野地区一帯、冷水峠周辺の山間部、鹿児島市と谷山市の境界一帯の開発を計画しており、4,200戸の宅地造成を目標としていました。1966年までに、鹿児島北部地区での宅地造成、与次郎ヶ浜埋立事業、長田町・冷水町・草牟田町・玉里町の背後地の宅地造成が鹿児島市から委託されました。住宅団地の造成に加え、鹿児島市を中心に工業用地の造成や万之瀬川導水などの開発も行いました。

歴史

1965年（昭和40年）
3月25日：鹿児島県議会で開発事業団の規約が議決
3月26日：谷山市議会で開発事業団の規約が議決
3月27日：鹿児島市議会で開発事業団の規約が議決
5月22日：自治大臣の設置認可を受け、鹿児島県、鹿児島市、谷山市の出資により「鹿児島開発事業団」が設立。出資金は550万円（鹿児島市400万円、鹿児島県100万円、谷山市50万円）。
6月16日：山下町の鹿児島県市町村自治会館に事務所を設置。
1967年（昭和42年）
4月29日：鹿児島市と谷山市が新設合併し、鹿児島市となる。出資金を増資し、総額900万円（鹿児島市450万円、鹿児島県450万円）。
1972年（昭和47年）
4月10日：事務所を鴨池ビルに移転。
1992年（平成4年）
鹿児島県議会および鹿児島市議会で鹿児島開発事業団の解散議案が議決。
1993年（平成5年）
3月26日：解散式典を挙行。
3月31日：鹿児島開発事業団が解散。余剰金として、鹿児島市委託分の現金120億円と約31万平方メートルの土地建物が鹿児島市に、鹿児島県委託分の現金89億円と23万平方メートルの土地が鹿児島県に引き継がれました。

組織

1989年（平成元年）7月1日時点での組織は以下の通りでした。

理事長
常務理事
企画室
企画係
土地管理係
分譲係
管理部
総務課
庶務係
経理第一係
経理第二係
事業第一部
工事課
宅地造成係
施設係
事業第二部
業務課
業務係

歴代理事長

歴代の理事長は全員鹿児島市長が兼任していました。

実施事業

鹿児島開発事業団は、以下の事業を実施していました。

宅地開発事業
公有水面埋立事業
公共用地造成事業
流通業務団地造成事業
臨海工業用地埋立事業
万之瀬川導水事業

宅地開発事業

公有水面埋立事業

与次郎ヶ浜埋立では城山団地造成の際の土砂を、祇園之洲埋立では催馬楽団地造成の際の土砂を、海水で押し流しパイプラインで運搬する「水搬工法」を用いました。

臨海工業用地埋立事業

鹿児島臨海一号用地（430ヘクタール、鹿児島市谷山港・七ツ島）
鹿児島臨海二号用地（266.2ヘクタール、鹿児島市南栄・卸本町）
鹿児島臨海三号用地（53.5ヘクタール、鹿児島市東開町）

流通業務団地造成事業

大峯団地（鹿児島市西別府町）

公共用地造成事業

鹿児島大学医学部（鹿児島市桜ケ丘）
鹿児島市立広木小学校（鹿児島市広木）
鹿児島市立和田中学校（鹿児島市和田）
鹿児島商業高等学校・鹿児島玉龍高等学校グラウンド
平川地区（鹿児島市平川動物公園・錦江湾公園）（鹿児島市平川町）

導水事業

万之瀬川導水

参考文献

南日本新聞開発センター『鹿児島開発事業団史 二十八年のあゆみ』鹿児島開発事業団、1993年。
鹿児島市史編さん委員会『鹿児島市史 第二巻』鹿児島市長 末吉利雄、1970年。
南日本新聞『鹿児島市史 第四巻』鹿児島市長 赤崎義則、1990年。
南日本新聞『鹿児島市史 第五巻』鹿児島市長 森博幸、2015年。
千葉昭彦「鹿児島都市圏における大規模宅地開発の展開過程」『経済地理学年報』第43巻第1号、経済地理学会、1997年。

関連項目

* 地方開発事業団

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