麻黄湯

麻黄湯（まおうとう）

麻黄湯は、漢方方剤の一種であり、その出典は中国の古典医学書である『傷寒論』に遡ります。この方剤は、発汗作用を持つ代表的な解表剤として知られています。

効能

麻黄湯は、主に風邪の初期段階で見られる症状、例えば頭痛、悪寒、発熱、腰痛、関節痛、咳、喘息などの緩和に用いられます。臨床においては、初期のインフルエンザや各種感染症、気管支炎、気管支喘息の発作時、アレルギー性鼻炎の発作時、さらには夜尿症など、幅広い症状に対して応用されることがあります。

ただし、麻黄湯は体力が充実している実証タイプの人に適しており、体力が低下している虚証タイプの人には適していません。

福岡大学病院の研究では、インフルエンザ治療において、麻黄湯が抗ウイルス薬であるタミフルと同程度の症状軽減効果を示すという結果が報告されています。

組成

麻黄湯は、以下の4種類の生薬から構成されています。これらの生薬を一定の割合で混合し、煎じて服用します。

麻黄（まおう）
杏仁（きょうにん）
桂枝（けいし）
甘草（かんぞう）

慎重投与

以下の状態にある患者には、麻黄湯の投与に際して慎重な注意が必要です。

病後の衰弱期、または著しく体力が低下している
著しく胃腸が虚弱である
食欲不振、悪心、嘔吐の症状がある
発汗傾向が著しい
狭心症、心筋梗塞など循環器系の障害がある、またはその既往歴がある
重症の高血圧症である
高度の腎障害がある
排尿障害がある
甲状腺機能亢進症である

相互作用

麻黄湯は、特定の薬剤との併用により、副作用のリスクが高まる可能性があります。特に注意すべきは、以下の薬剤です。

麻黄含有製剤
エフェドリン類含有製剤
モノアミン酸化酵素（MAO）阻害剤
甲状腺製剤
カテコールアミン製剤
キサンチン系製剤
甘草含有製剤
グリチルリチン酸及びその塩類を含有する製剤

これらの薬剤との併用により、不眠、発汗過多、頻脈、動悸、全身脱力感、精神興奮、偽アルドステロン症、ミオパシーなどの症状が現れやすくなることがあります。

副作用

麻黄湯には、以下の副作用が報告されています。

重大な副作用：偽アルドステロン症、ミオパシー
その他の副作用：発疹、発赤、掻痒、不眠、発汗過多、頻脈、動悸、全身脱力感、精神興奮、肝機能異常、食欲不振、胃部不快感、悪心、嘔吐、排尿障害

注意事項

麻黄湯の使用にあたっては、以下の点に注意が必要です。

高齢者は生理機能の低下に注意する
妊婦、産婦、授乳婦、小児に対する安全性は確立されていない

関連項目

太陽病
* 薬の煎じ方

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