黄孔昭

黄孔昭（こう こうしょう、1428年 - 1491年）は、明代中期に活躍した官僚です。初めは黄曜と名乗り、字を孔昭と称していましたが、後に字の「孔昭」が一般的になり、世顕と改めました。号は定軒といい、本籍は台州府黄巌県です。

生涯

黄孔昭は黄瑜の子として生まれました。14歳で両親を亡くすと、その死を深く悲しみ、喪に服しました。1460年（天順4年）に進士に及第し、工部屯田主事に任官されます。江南への使節を務めた際には、贈り物を一切受け取らず、その清廉さを周囲に示しました。その後、工部都水員外郎へと昇進しました。

1469年（成化5年）、吏部文選郎中の陳雲らが不正を暴かれ、官を降格するという事件が起こりました。これにより、吏部文選の役職に大幅な欠員が生じました。吏部尚書の姚夔は、黄孔昭の廉潔な人柄を知っていたため、彼を吏部文選員外郎に抜擢しました。1473年（成化9年）には、吏部文選郎中に昇進しました。

当時の吏部郎中は、外部との接触を避けるのが一般的でしたが、黄孔昭は「部屋に閉じこもって客を拒絶していては、どうして天下の優れた人材を知ることができるだろうか」と考え、公務後には自宅に客を迎え入れ、人材情報を収集しました。人材選考においては、その能力に応じて適切な役職に配置し、昇進や降格を公平に行いました。私的な関係を利用した不正な任用を求める者に対しては、断固として拒否しました。ある時、人事案を巡り、吏部尚書の尹旻と対立し、尹旻の怒りを買いました。しかし、黄孔昭は尹旻の怒りが収まるのを待ち、再度人事案について意見を述べました。この誠実な態度が尹旻の信頼を得るきっかけとなりました。

尹旻は通政の談倫と親しく、彼を侍郎に任用しようとしましたが、黄孔昭は反対しました。尹旻が強行したにもかかわらず、談倫は期待された成果を上げられませんでした。また、尹旻が旧友を巡撫に推挙しようとした際も、黄孔昭はこれに同意しませんでした。その人物が黄孔昭に会うためにわざわざ都にやって来て、ひざまずいた態度を見た黄孔昭は、その人物を軽蔑し、尹旻に「彼は小人物で、体裁だけを整えている」と伝えました。尹旻は、「黄孔昭が役人の選抜に関わっている限り、その人物を転任させることはできない」と語ったと伝えられています。

1482年（成化18年）、黄孔昭は通政司右通政に抜擢され、1487年（成化23年）には南京工部右侍郎に転任しました。

黄孔昭は学問を好み、陳選、林鶚、謝鐸らと親交があり、彼らとともに士大夫の中心人物として活躍しました。1491年（弘治4年）6月17日に64歳で亡くなりました。嘉靖年間には礼部尚書の位を追贈され、諡は文毅とされました。

黄孔昭の子である黄俌も1481年（成化17年）に進士に合格し、吏部文選郎中となりました。さらに、黄俌の子である黄綰は礼部尚書に上り、その名を知られることとなりました。黄孔昭の清廉で公正な態度は、後世に大きな影響を与えました。

参考文献

『明史』巻158 列伝第46
明故通議大夫南京工部右侍郎黄公神道碑銘（李東陽『懐麓堂集』巻45所収）

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