龍田静枝

龍田静枝（たつた しずえ）

龍田静枝（1903年2月11日 - 1962年1月21日）は、大正末期から昭和初期にかけてのサイレント映画時代に一世を風靡した日本の女優です。山形県出身で、本名は塩野静枝。

生涯

女優以前

龍田静枝の女優以前の経歴は、複数の説が存在し、詳細な情報は明らかになっていません。

1903年（明治36年）2月11日に山形県南村山郡金瓶村（現在の上山市金瓶）で生まれたという説と、1906年（明治39年）に山形市で生まれたという説があります。
学歴についても、山形高等小学校（旧制、現在の山形市立第一山形小学校）を卒業後、山形高等女学校（現在の山形県立山形西高等学校）または米沢高等女学校（現在の同県立米沢東高等学校）を卒業したという説があります。
上京後、日本女子大学に入学するも写真家を目指して中退したという説、17歳で結婚し直後に夫が病死、1923年（大正12年）に母親と共に上京したという説も存在します。

上京後、「青山脳病院」に看護師として勤務していた時期があったとされています。同病院の創立者の養子で、医師であり歌人である斎藤茂吉と同郷であった縁から、茂吉に可愛がられていたといいます。1917年（大正6年）に茂吉が長崎医学専門学校（現在の長崎大学医学部などの母体）へ教授として赴任する際、龍田をアシスタントとして同行させようとしましたが、周囲の反対により実現しませんでした。ただし、この時期の龍田の年齢は14歳（あるいは11歳）であり、矛盾が生じています。

女優として

1924年（大正13年）5月、21歳で京都へ渡り、現代劇の「小笠原プロダクション」に入社。その後、東京のタカマツ・アズマプロダクションで時代劇に出演し、松竹へ移籍。70本近い映画に出演しました。松竹蒲田撮影所のスターとして、島津保次郎監督の作品に数多く主演し、その他、五所平之助、斎藤寅次郎、成瀬巳喜男、小津安二郎といった名監督の作品にも出演しました。大正時代のモダンガールを象徴する女優として人気を博しました。

1928年（昭和3年）1月に撮影が開始された阪東妻三郎主演の現代劇『霊の審判』では相手役に抜擢されましたが、龍田の病気により撮影は中止となりました。この作品は、伊藤好市が「朝日新聞」に連載した写真物語を江川宇礼雄が脚色、枝正義郎が監督するという意欲作であり、中止は当時「本年度の痛恨事」と評されました。

およそ10年間の女優活動を経て、トーキー映画の登場とともに、1936年（昭和11年）に33歳で松竹を退社し、引退。引退後は銀座でバーを経営しました。1938年（昭和13年）には、東京日本橋の高級家具商・池田愛吉と結婚し、一児をもうけました。

1962年（昭和37年）1月21日、世田谷区奥沢2丁目の自宅で死去。58歳という若さでした。

主な出演作品

1924年：久遠の響 - 監督：トーマス・栗原（デビュー作）
1924年：海賊島 - 監督：小笠原明峰
1924年：落葉の唄 - 監督：小笠原明峰
1925年：虚栄は地獄 - 監督・主演：内田吐夢
1926年：涙の黎明 - 監督：友成用三
1927年：涙 - 監督：井上金太郎
1927年：新珠 - 監督：島津保次郎
1927年：海の勇者 - 監督：島津保次郎
1927年：恋を拾った男 - 監督：島津保次郎
1928年：弱き人々 - 監督・原作：島津保次郎
1928年：春ひらく - 監督・原作：島津保次郎
1930年：結婚学入門 - 監督：小津安二郎
1930年：姉妹篇 - 監督：野村芳亭
1930年：新編・己が罪作兵衛 - 監督：佐々木恒次郎
1930年：お嬢さん - 監督：小津安二郎
1931年：愛よ人類と共にあれ 前篇日本篇 / 後篇米国篇 - 監督：島津保次郎
1933年：花嫁の寝言 - 監督：五所平之助
1935年：おやぢ教育 - 監督：宗本英男（最終作）

外部リンク

竜田静枝 - 日本映画データベース
滝田静江 - 日本映画データベース
Shizue Tatsuta - IMDb（英語）
* 山形新聞記事：山形出身の女優・龍田静枝

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