龐徳

龐徳について

龐 徳（ほう とく、? - 219年8月）は、中国後漢末期に活躍した武将で、字は令明（れいめい）です。彼は現在の甘粛省天水市に位置する涼州南安郡狟道県出身で、親族には従兄の龐柔がいます。彼の子孫には龐会がいます。龐徳はしばしば「龐悳」とも表記され、この表記は「悳」が「徳」の異体字であるためです。『三国志』には彼に関する伝記が記されており、その内容は彼の人生と活躍を詳細に描いています。

初期の経歴

若い頃から郡吏や州の従事としてその名を馳せた龐徳は、初平年間に馬騰に仕官しました。この時、彼は羌族や氐族の反乱を鎮圧するため、数回にわたり功績を挙げ、校尉に昇進しました。建安7年（202年）、曹操が敵を討つ際に馬騰は曹操に仕える決断をし、龐徳はその先鋒を務めます。彼は敵軍を大破させ、重要な戦果を挙げ中郎将に昇進しました。この際、彼は厳しい戦局の中で甥にあたる郭援を討ち取るという悲劇も経験しました。

曹操の下での活躍

建安10年（205年）には再び反乱が起こる中、龐徳は馬騰の命に従い、数多くの戦闘で敵を撃退しました。その間、彼は馬騰軍の中でも最も勇敢な武将として認識されるようになります。建安13年に馬騰が衛尉に任命された際、龐徳は馬超の指揮下に残ることを選びました。

建安16年（211年）、馬超が曹操に敗れ、龐徳は彼に従って逃げることになります。後に栗州に居を構えた馬超が逃げる中、龐徳は張魯に仕えることとなります。建安20年（215年）、曹操が漢中を制圧した際に、龐徳は張魯とともに降伏し、曹操の軍に加わりました。その後、立義将軍に任命され、関門亭侯としての地位を得るに至りました。

忠義の死

荊州の宛城では、反乱を起こした侯音や衛開の鎮圧にあたり、その忠誠を示します。しかし、樊城で曹仁と共に従軍している中、彼は関羽から疑念を持たれることになります。龐徳は「国に対する恩は忘れず、義を果たすために命を捧げるべき」と語り、関羽との戦闘を挑む姿勢を見せました。彼は独特の白馬で戦い、名を馳せました。

関羽との激しい戦闘が続く中、洪水による水害に見舞われ、孤立した龐徳はおじの忠義を貫こうと戦い続けます。しかし、その戦闘は彼の命を奪う最期となる運命でした。降伏を勧められるも彼はそれを拒絶し、ついには首を討たれ、忠義を貫いて死にました。

曹操は龐徳の死を悼み、彼の忠誠を高く評価し、後に多くの栄誉を彼に与えることになります。龐徳の死後も、その忠誠心と勇気の物語は語り継がれ、多くの人々に影響を与えています。即位した曹丕は龐徳を壮侯として崇め、その業績を讃えました。

逸話と文化的影響

龐徳には数多くの逸話があり、彼の行動は後の時代においても伝説となって語られることがあります。特に彼の選んだ馬の逸話は広く知られており、その姿勢が後の戦闘で彼の名を上げることになります。また、小説『三国志演義』では彼のキャラクターが描かれ、彼の忠義や戦いの姿勢が強調されています。彼の悲劇的な運命は、忠誠心と義を重んじる姿勢を持つ武将の象徴となり、後の歴史や物語に多大な影響を与えました。

もう一度検索