12.7x108mm弾

12.7x108mm弾

12.7x108mm弾は、旧ソビエト連邦で開発された重機関銃および対物ライフル用の弾薬です。ワルシャワ条約機構加盟国や現代のロシア連邦など、多くの国で採用されています。

概要

この弾薬は、NATOの12.7x99mm NATO弾（.50口径ブローニング弾）と同様の用途で使用されますが、弾頭の形状や重量、薬莢の寸法に若干の違いがあります。12.7x108mm弾の薬莢はわずかに長く、厚みがあり、そのため異なる種類の装薬を充填できます。

戦場では、12.7x108mm弾は幅広い種類の目標に使用され、非装甲車両の破壊や軽装甲車両の貫通といった損害を与えます。また、戦車などの重装甲車両に対しては、サーチライト、レーダー、トランスミッター、ビジョンブロック、エンジン区画のカバーなど、外部の付属装備品を損傷させるのに用いられます。徹甲弾は25mm程度の装甲を貫通する能力を持ちます。

フィンランド国防軍では、NSV重機関銃が12.7x108mm弾薬を採用しており、全兵科が主に対空任務に使用しています。

弾薬の寸法

12.7x108mm弾は、22.72mlの薬莢容量を持ちます（水換算）。

薬莢のショルダー部の角度は、アメリカの規格ではalpha/2で18.16度と規定されています。

公式ガイドラインによれば、12.7x108mm弾の薬莢は360MPa(52,213psi)までの圧力を処理できるとされています。C.I.P.（加盟国内で流通する武器弾薬の安全保証を行う国際機関）の基準に従う国家では、全てのライフル用弾薬の薬莢と弾頭の組み合わせを顧客に販売するにあたり、このC.I.P.圧力で最大125％に耐えることを証明しなければなりません。

互換性に関する誤解

アメリカの12.7x99mm NATO弾は、ソ連またはロシア連邦製の12.7x108mm弾を使用する機関銃で発砲できるという主張がしばしば見られます。この誤解は、ベトナム戦争中にアメリカの情報公開において12.7x108mm弾が「.511口径」と記載されたことに起因すると考えられています。

実際には、弾丸の直径がほぼ同じであっても、2種類の弾薬筒の間には寸法の差が存在します。そのため、12.7x99mm弾用の銃に12.7x108mm弾を使用した場合でも、その逆の場合でも、正しい装填動作が妨げられ、使用できません。

本弾薬を用いる銃器

機関銃

DShK38重機関銃
UB（航空機関銃）
NSV重機関銃
Kord重機関銃
77式重機関銃
W85重機関銃
6P62（肩付け射撃可能な携行型機関銃）
ツァスタバM02コヨーテ重機関銃
Yak-B 12.7mm重機関銃（ガトリング型式）
ツァスタバM87
Yu-12.7（航空機関銃）

対戦車ライフル・対物ライフル

AMR-2
CZW-127（チェコ共和国の対物用狙撃銃）
V-94
KSVK
ゲパード
ツァスタバ M93 ブラック・アロー
Vidhwansak
OSV-96
SVN-98（試作）

参考文献

Koll, Christian (2009). Soviet Cannon - A Comprehensive Study of Soviet Arms and Ammunition in Calibres 12.7mm to 57mm. Austria: Koll. p. 72. [ISBN]] 978-3-200-01445-9. [http://www.russianammo.org

関連項目

12.7x99mm NATO弾
20mm口径弾
14.5x114mm弾

外部リンク

* Russian Ammunition Page

もう一度検索