14.5x114mm弾

14.5x114mm弾

14.5x114mm弾は、かつてソビエト連邦で開発され、重機関銃や対物ライフルに使用された弾薬です。現在ではロシア連邦をはじめ、旧ワルシャワ条約機構加盟国など、様々な国で使用されています。この弾薬は、当時の西側諸国における12.7mm弾と同様の役割を担っていました。

開発の経緯

当初、14.5x114mm弾はシモノフPTRS1941やデグチャレフPTRD1941といった対戦車ライフルのために開発されました。その後、KPV重機関銃にも用いられるようになります。KPV重機関銃は、対空機関銃ZPUシリーズの基礎となり、BTR-60からBTR-80に連なるBTR装甲兵員輸送車シリーズの主兵装としても採用されました。

弾薬の設計

14. 5x114mm弾の薬莢容量は42.53mlです。薬莢は、過酷な条件下でのボルトアクションライフルや重機関銃での使用を想定し、確実な給弾・排莢が行えるよう設計されています。

薬莢のショルダー部の角度は22.50度と規定されています。ライフリングの転度は455mm、施条数は8条、ライフリング頂部腔径は14.5mm、ライフリング深部腔径は14.95mmです。

公式ガイドラインによれば、14.5x114mm弾の薬莢は360MPa (52,213psi) までの圧力を処理できます。C.I.P.（加盟国内で流通する武器弾薬の安全保証を行う国際機関）の基準に従う国家では、ライフル用弾薬の薬莢と弾頭の組み合わせを販売する際、このC.I.P.圧力の最大125％に耐えることを証明する必要があります。

弾薬の種類

14.5x114mm弾には、様々な種類が存在します。

BS: 徹甲焼夷弾。対戦車ライフル用弾薬を原型としています。弾芯はタングステンカーバイド製で、先端部に焼夷剤が含まれています。射程100mで60度に傾斜した30mm厚の鋼板を貫通する能力を持ちます。
B-32: 徹甲焼夷被甲弾。硬化鋼製の弾芯を採用しています。500mの距離で均質圧延装甲(RHA)に換算して32mmの装甲を貫通可能です。
BZT: 徹甲焼夷曳光弾。鋼製の弾芯を採用し、被甲されています。曳光距離は2,000mに達します。
MDZ: 瞬発式の高性能焼夷弾です。
ZP: 焼夷曳光弾です。

これらの弾薬には、ラッカー塗りの鋼製薬莢が用いられています。一部の国では真鍮製の薬莢も使用されました。発射薬は、28.8gの無煙火薬がチューブ状に成形されたものが使用されています。

弾薬には初期型と新型の2種類があります。初期のものはボートテール形状で、ライフリングとの接触部分が長いため、銃身の摩耗が激しいという問題がありました。1957年頃から使用されている新型は、ライフリングとの接触部分が短く、弾尾がより丸みを帯びた形状となっています。

14.5x114mm弾は、ブルガリア、中国、エジプト、ハンガリー、イラク、北朝鮮、ポーランド、ルーマニア、ロシア連邦などで生産されています。かつてはチェコスロバキアでも製造されていました。

中国では、新型徹甲弾であるDGJ02やDGE02が開発されています。

DGJ02: AP-T弾薬（徹甲曳光弾）であり、分離式サボに包まれたタングステン製の貫徹体を使用しています。射程1,000mで50°に傾斜した20mmの装甲板を貫通可能です。
DGE02: HEIAP弾薬（徹甲焼夷榴弾）であり、射程300mで2mmの軟鋼板を貫通後、破片となって1.2mm厚の鋼板を貫通できます。また、射程100mでは30°に傾斜した15mmの装甲板を貫通後、航空燃料に引火させることが可能です。

使用兵器

14.5x114mm弾は、対物ライフルや機関銃など、様々な兵器に使用されています。

対物ライフル

アンツィオ20mmライフル
ダネル NTW-20
ゲパードM3/M6
IST-14.5
マンビ-1 AMR
PTRS1941/PTRD1941 (対戦車ライフル)
シャヘル/トゥルベロ狙撃銃
Vidhwansak (インド)

機関銃

スロスティン機関銃 (大口径派生型)
KPV 重機関銃
02式重機関銃
56式/58式重機関銃 (中国)

その他

ZPU-4 (対空機関銃)
2Kh35 (内蔵改修型自動装填銃。戦車砲訓練用)

関連項目

12.7x108mm弾
12.7x99mm NATO弾
20mm口径弾
* 30mm口径弾

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