1966年の日本公開映画

1966年（昭和41年）は、日本国内の映画館で国内外の数多くの作品が公開された年でした。この年には、日本映画からは人気シリーズの新作や特撮、時代劇、アクションなどが多数登場し、活況を呈していました。同時に、世界各国からも話題作や大作が次々と上陸し、観客に多様な選択肢を提供しました。

年明け早々には、東宝の「クレージーの無責任清水港」や「社長行状記」といった喜劇シリーズ、大映の「新・兵隊やくざ」「若親分喧嘩状」といった人気アクション・時代劇シリーズの新作が登場し、正月興行を賑わせました。東映からは「昭和残侠伝唐獅子牡丹」が公開され、任侠映画の一翼を担っています。1月には他にも黒沢明監督の「暴れ豪右衛門」などが公開されています。

2月には、アメリカのミュージカル・コメディ「キャット・バルー」や、イギリス映画「初恋」といった洋画が公開される一方、邦画では「ザ・ガードマン東京忍者部隊」「忍びの者新・霧隠才蔵」といったアクションや時代劇、そして大映の文芸大作「大菩薩峠」などが公開されました。

3月には、イタリア映画「黄金の七人」が登場し、その後のシリーズ化へと繋がるヒットとなりました。フランス・アメリカ合作の「かもめの城」など、国際色豊かな作品も見られます。邦画では「悪名桜」「眠狂四郎多情剣」といった時代劇シリーズ、「日本一のゴリガン男」などのコメディが公開されました。

4月には、アメリカから大規模な戦争映画「バルジ大作戦」が公開され話題を呼びました。また、ジェームズ・ボンドシリーズの影響を受けたと思われる「電撃フリントGO!GO作戦」なども登場しています。邦画では「東京流れ者」といったアクション、「大怪獣決闘ガメラ対バルゴン」「大魔神」といった特撮映画の傑作が生まれ、特に「大魔神」は同年の夏にも続編が公開される人気となりました。さらに、「沓掛時次郎遊侠一匹」などの時代劇も公開されています。

5月には、若大将シリーズの人気作「アルプスの若大将」、クレージーシリーズの「クレージーだよ奇想天外」といった人気作が公開されました。海外からは「海底世界一周」のようなアドベンチャー大作や、「イスタンブール」のようなヨーロッパ合作のアクション映画も公開されています。

6月は海外大作の公開が目白押しでした。アカデミー賞も受賞した「ドクトル・ジバゴ」（イギリス・アメリカ合作）が公開され、ロングランとなりました。他にも「サイレンサー/沈黙部隊」「飛べ!フェニックス」といったアメリカ映画が注目を集めました。邦画では「陸軍中野学校」が公開され、シリーズ化の第一歩を踏み出しています。

夏休み興行に向けては、子供向けの特撮・アニメ映画や、アクション・時代劇が多く公開されました。7月には東宝の特撮「フランケンシュタインの怪獣サンダ対ガイラ」、アニメ「ジャングル大帝」などが公開されています。邦画アクションでは「昭和残侠伝一匹狼」「処刑の島」などが公開されました。海外からは、クリント・イーストウッド主演のイタリア製西部劇「続・荒野の用心棒」（9月）のような作品も人気を集めました。

秋にかけては、文芸作品やドラマ、海外の話題作が続きました。10月には黒澤明監督の「赤ひげ」に続く三船敏郎主演作「奇巌城の冒険」（4月）や、文芸作品「赤い天使」「あこがれ」などが公開されました。洋画ではアルフレッド・ヒッチコック監督の「引き裂かれたカーテン」、ジョン・ヒューストン監督の「天地創造」といった大作が公開されています。イタリア・フランス合作の恋愛映画「男と女」も話題となりました。

年末にかけても、国内外の多様な作品が公開されました。11月には「眠狂四郎無頼剣」「兵隊やくざ大脱走」といったシリーズ物の新作、アメリカのコメディ「おしゃれ泥棒」などが公開されました。12月には東宝特撮「ゴジラ・エビラ・モスラ南海の大決闘」、大魔神シリーズ完結編「大魔神逆襲」、そしてフランス・アメリカ合作の大作「パリは燃えているか」や、ジョン・ウェイン主演の西部劇「エル・ドラド」といった話題作が登場し、その年を締めくくりました。また、日本とソビエト連邦の合作映画「小さい逃亡者」も年末に公開されています。

1966年は、邦画・洋画ともにバラエティ豊かな作品が公開され、観客はシリーズものの安定した面白さや、新しいジャンル、海外の大作など、幅広い選択肢の中から映画を楽しむことができました。当時の映画産業のエネルギーを感じさせる、活気にあふれた一年であったと言えるでしょう。

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