1967年南アフリカグランプリ

1967年1月2日、南アフリカ共和国ヨハネスブルグ郊外のキャラミサーキットで、F1世界選手権が開幕しました。1967年南アフリカグランプリ、正式名称は第1回AA南アフリカグランプリです。

このレースは、3リッターエンジン規定が導入されて2年目の開幕戦ということもあり、注目を集めました。開催地であるキャラミサーキットは、F1世界選手権において初めての開催となりました。

今シーズンは、各チームのドライバーラインナップに大きな変化がありました。ホンダはイギリスに拠点を移し、チーム体制を一新。中村良夫監督の下、ジョン・サーティースを起用し、1台体制で臨みました。

クーパーは、ヨッヘン・リントをエースに据え、ペドロ・ロドリゲスをスポット起用。ロータスは、長年ライバルとしてチャンピオンを争ってきたジム・クラークとグラハム・ヒルをジョイントナンバー1として起用しました。BRMは、ジャッキー・スチュワートをエースに、マイク・スペンスを新たなチームメイトとして迎え入れました。一方、フェラーリは今大会を欠場しました。

レースは80周で争われ、スタートではデニス・ハルムがジャック・ブラバムからトップを奪いました。しかし、ブラバムはすぐにスピンしてサーティースに順位を明け渡しますが、21周目には2位に浮上します。

レース中盤、サーティースは燃料温度の上昇により加速が鈍り始めます。その隙をついて、ローデシアのプライベーターであるジョン・ラブが、古いクライマックス製直列4気筒エンジンを搭載したクーパーで3位に順位を上げました。

41周目にはブラバム、44周目にはダン・ガーニーがリタイア。レース終盤になると、オーバーヒートによるリタイアが増加しました。

ハルムは59周目、ブレーキフルードを補充するためにピットインしなければならず、ラブにトップの座を譲りました。そして、燃料補給のためにピットインしたことで、トップ争いから脱落しました。

残り7周というところで、クーパーのペドロ・ロドリゲスがラブからトップを奪い、F1初優勝を果たしました。この勝利は、クーパーにとってF1最後の勝利となりました。

一方、3位を走行していたサーティースは、右リアタイヤから空気漏れが発生。ステアリングと格闘しながらタイヤを労りながら走り続け、ホンダの新体制初戦で3位表彰台を獲得しました。しかし、レース後、サーティースはオイルタンクからの熱で左足が火傷のように腫れ上がり、右リアタイヤはパンク寸前で、トレッドラバーが剥がれ落ちている状態であったことが判明しました。

このレースは、3リッターエンジン規定2年目の開幕戦として、多くのドラマと波乱に満ちたレースとなりました。各チームの戦略、ドライバーの技量、マシンの信頼性など、様々な要素が絡み合った、記憶に残る一戦となりました。また、今後のF1シーズンを占う上でも重要なレースであったと言えるでしょう。

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