1985-1986シーズンのNBA

1985-86 NBAシーズン：新時代の幕開けとレジェンドたちの戦い

1985-86シーズンはNBAにとって40回目のシーズンであり、新たな時代への転換点となる、数々の出来事が起きた年でした。このシーズンは、ロッタリー制の導入、スター選手の台頭、そして東西を代表する強豪チームによる激闘など、多くの見どころがありました。

シーズン前の話題：ロッタリー制導入

それまでのドラフト全体1位指名権は、カンファレンス最下位チーム同士のコイントスで決まるシステムでした。しかし、意図的に敗戦を重ね、高順位指名権獲得を狙うチームが増加。特にヒューストン・ロケッツは2年連続で1位指名権を獲得するなど、リーグの秩序を乱していました。

この問題を解決するため、NBAは1985年から、プレーオフ進出を逃したチームによる抽選（ロッタリー）でドラフト指名順を決める新システムを導入しました。最初のロッタリーでは、ニューヨーク・ニックスが全体1位指名権を獲得。この抽選結果を巡っては、様々な憶測が飛び交い、話題となりました。

1985年のNBAドラフト：豊作の年

1985年のドラフトは、パトリック・ユーイング、カール・マローン、ジョー・デュマースといった、後にリーグを代表するスター選手を輩出した、豊作の年でした。ユーイングはニューヨーク・ニックスに入団。マローンとデュマースはそれぞれユタ・ジャズとデトロイト・ピストンズに加わり、その後のNBAの歴史に大きな足跡を残しました。この年のドラフトでは、ヨーロッパ出身の選手も複数指名を受け、NBAの国際化が本格的に始まったことも特筆すべき点です。

カンザスシティ・キングスの移転

ミズーリ州カンザスシティを本拠地としていたカンザスシティ・キングスは、このシーズンからカリフォルニア州サクラメントに移転。チーム名はサクラメント・キングスと改称されました。

オールスターゲーム

オールスターゲームはテキサス州ダラスで開催され、イーストがウエストを139-132で下しました。MVPはアイザイア・トーマス（デトロイト・ピストンズ）、スラムダンクコンテスト優勝はスパッド・ウェブ（アトランタ・ホークス）、そしてこの年から新設されたスリーポイント・シュートアウト優勝はラリー・バード（ボストン・セルティックス）でした。

各賞

シーズンMVP：ラリー・バード（ボストン・セルティックス）
ルーキー・オブ・ザ・イヤー：パトリック・ユーイング（ニューヨーク・ニックス）
最優秀守備選手賞：アルヴィン・ロバートソン（サンアントニオ・スパーズ）
シックスマン賞：ビル・ウォルトン（ボストン・セルティックス）
MIP：アルヴィン・ロバートソン（サンアントニオ・スパーズ）
最優秀コーチ賞：マイク・フラテロ（アトランタ・ホークス）

史上最高のフロントライン：ボストン・セルティックス

セルティックスは、前シーズンにファイナルで敗れたことを教訓に、オフシーズンに大胆なトレードを実行。セドリック・マックスウェルを放出し、ビル・ウォルトンを獲得しました。故障がちのウォルトンでしたが、このシーズンは80試合に出場。ラリー・バード、ケビン・マクヘイル、ロバート・パリッシュとの強力なフロントラインを形成し、リーグを席巻しました。このフロントラインはしばしば「史上最高のフロントライン」と称賛されています。

セルティックスはリーグトップの67勝を記録。特にホームゲームでの強さは異次元で、ボストン・ガーデンでは40勝1敗という驚異的な成績を残しました。

ロサンゼルス・レイカーズとアトランタ・ホークスの活躍

レイカーズはマジック・ジョンソンを中心とした「ショータイム」バスケットで62勝を挙げ、カンファレンストップの成績を収めました。アトランタ・ホークスはドミニク・ウィルキンスらの活躍で50勝を達成し、プレーオフ進出を果たしました。

マイケル・ジョーダンの活躍とシカゴ・ブルズのプレーオフ進出

前シーズン、旋風を巻き起こしたマイケル・ジョーダンでしたが、このシーズンは足の骨折で長期離脱。ブルズは苦戦を強いられましたが、ジョーダンの復帰と終盤の粘りによりプレーオフ進出を決めました。

プレーオフ：ジョーダン伝説の始まり

1回戦でセルティックスと対戦したブルズ。ジョーダンはシリーズ第2戦で、NBA史に残る63得点を記録する活躍を見せました。この試合は、ラリー・バードが「あれはマイケル・ジョーダンという名の神だった」と評したことで有名です。

カンファレンス決勝：レイカーズの敗退とヒューストン・ロケッツの躍進

ウエスタン・カンファレンス決勝では、ヒューストン・ロケッツが「ツインタワー」と呼ばれるアキーム・オラジュワンとラルフ・サンプソンを擁し、ロサンゼルス・レイカーズを破る大金星を挙げました。

ファイナル：セルティックス対ロケッツ

ファイナルはセルティックスとロケッツの対戦となりました。セルティックスの史上最高のフロントラインとロケッツのツインタワーによる、激しい攻防が繰り広げられました。

6試合に渡るシリーズは、セルティックスが4勝2敗で制し、2年ぶり16回目の優勝を果たしました。ラリー・バードはシーズンMVPとファイナルMVPの両方を獲得しました。

レジェンドたちのラストシーズン

このシーズンは、ボブ・マカドゥー、ジョージ・ガービン、ジャマール・ウィルクスなど、多くのレジェンド選手にとってラストシーズンとなりました。彼らがNBAに残した功績は、今もなお語り継がれています。

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