1989-1990シーズンのNBA

1989-1990シーズンNBA：変革の時代

1989-1990シーズンは、NBAにとって第44回目のシーズンであり、様々な変化と新たな才能の台頭が目立ったシーズンでした。デトロイト・ピストンズが連覇を達成する一方で、マイケル・ジョーダン率いるシカゴ・ブルズがその牙を研ぎ始め、リーグの勢力図が大きく変動する兆しを見せました。

ドラフトの評価と新チームの加入

1989年のNBAドラフトは、後に「最悪のドラフト」の一つとして語られることになります。ショーン・エリオット、グレン・ライス、ティム・ハーダウェイなど、後にオールスターに選出される選手もいましたが、全体1位指名のパービス・エリソンをはじめ、上位指名選手の多くが期待に応えられず、スカウティングの難しさを浮き彫りにしました。

このシーズンから、ミネソタ・ティンバーウルブズとオーランド・マジックという2つの新チームが加わり、リーグは27チームへと拡大しました。これにより、シャーロット・ホーネッツはミッドウエスト・ディビジョンに編入され、リーグ全体の構造にも変化が見られました。また、NBAインターナショナル・オフィスが創設され、海外への普及を目指す動きも活発化しました。

オールスターゲーム

1990年2月11日にヒューストンで開催されたオールスターゲームでは、マジック・ジョンソンがMVPに輝き、ウエストがイーストを130-113で下しました。スラムダンクコンテストではドミニク・ウィルキンス、スリーポイント・シュートアウトではクレイグ・ホッジスがそれぞれ優勝しました。

シーズン概要：ピストンズの連覇と新世代の台頭

前シーズンに初優勝を果たしたデトロイト・ピストンズは、リック・マホーンを失ったものの、アイザイア・トーマスとジョー・デュマースを中心とした強固なチーム力でイースタン・カンファレンスを制覇しました。一方、カリーム・アブドゥル＝ジャバーが引退したロサンゼルス・レイカーズは、マジック・ジョンソンのMVP受賞とパット・ライリーの最優秀コーチ賞受賞でシーズンを盛り上げましたが、プレーオフでは苦戦を強いられました。

サンアントニオ・スパーズは、デビッド・ロビンソンの加入により躍進を遂げました。ポートランド・トレイルブレイザーズは、バック・ウィリアムスを獲得し、チーム記録となる59勝を記録。フィラデルフィア・76ersは、チャールズ・バークレーを中心に7年ぶりの地区優勝を果たしました。

プレーオフ

プレーオフでは、ピストンズが順当に勝ち進む一方で、ブルズがカンファレンス決勝でピストンズを苦しめるなど、世代交代の波が押し寄せていることを感じさせました。ファイナルでは、ピストンズがトレイルブレイザーズを4勝1敗で下し、見事2連覇を達成しました。

ファイナルMVPには、アイザイア・トーマスが選ばれました。また、第5戦で決勝シュートを決めたヴィニー・ジョンソンは、「007」の愛称で呼ばれるようになりました。

このシーズンは、1980年代を支配したレイカーズとセルティックスの時代が終わりを告げ、ピストンズ、ブルズ、トレイルブレイザーズといった新たな勢力が台頭してきたことを象徴するシーズンとなりました。

各賞

最優秀選手：マジック・ジョンソン
ルーキー・オブ・ザ・イヤー：デビッド・ロビンソン
最優秀守備選手賞：デニス・ロッドマン
シックスマン賞：リッキー・ピアース
MIP：ロニー・サイカリー
最優秀コーチ賞：パット・ライリー

引退選手

コールドウェル・ジョーンズ、マイク・ダンリービー、デニス・ジョンソン、ジョン・ルーカスなど、長年NBAを支えてきた選手たちがこのシーズンを最後に引退しました。

1989-1990シーズンは、NBAの歴史において、世代交代と新たなスターの誕生、そしてチームの戦略の変化が交錯した、記憶に残るシーズンとなりました。

もう一度検索