1991年のテレビ (日本)
1991年は、平成3年にあたり、日本のテレビジョン放送全般において多様な動きが観測された年です。国内外の重大な出来事への報道対応、新たな放送インフラの登場、そして数々の人気番組の誕生・変遷が、この年のテレビ界を特徴づけています。
社会情勢と報道
年明け早々には湾岸戦争が勃発し、NHKと民放各局は連日、報道特別番組を組み、緊迫した情勢を伝えました。特に、多くの局が通常番組を休止する中で、テレビ東京がアニメなどを放送し、結果的に高い視聴率を獲得したことは当時話題となりました。また、国内では信楽高原鐵道列車衝突事故や雲仙普賢岳の大火砕流といった大規模災害が発生。テレビは被災地の状況を詳細に報じ、フジテレビ系列では雲仙普賢岳の被災者支援のためのチャリティー音楽特番「夜のヒットスタジオスペシャル」を放送するなど、救援活動にも貢献しました。横綱・千代の富士の引退表明やソビエト連邦でのクーデター発生など、国内外の重要なニュースにも迅速に対応しました。
番組の動き
この年は、後のテレビ界に大きな影響を与える番組が数多く誕生しました。ドラマ分野では、フジテレビ系の「東京ラブストーリー」と「101回目のプロポーズ」が社会現象となるほどの人気を博し、特に最終回はそれぞれ32.3%、36.7%という驚異的な視聴率を記録しました。これらのドラマは、その後の月9枠の方向性を決定づけるとともに、「101回目のプロポーズ」からは同枠で初のステレオ放送が導入されるなど、技術的な変化も伴いました。
情報・バラエティ番組では、日本テレビ系で「スーパーテレビ情報最前線」、「世界まる見え!テレビ特捜部」がレギュラー化。TBS系では「情熱ワイド! ブロードキャスター」、「オールスター感謝祭」といった大型番組がスタートし、「オールスター感謝祭」は年末年始や改編期の恒例特番として定着しました。フジテレビ系では小堺一機司会の「ライオンのごきげんよう」、ダウンタウンの冠番組「ダウンタウンのごっつええ感じ」、ビートたけしと逸見政孝が司会を務めた「たけし・逸見の平成教育委員会」などが放送を開始。テレビ東京系では、深夜番組「ギルガメッシュないと」がスタートし、AV女優の飯島愛を輩出するなど話題を呼びました。また、札幌テレビの「どさんこワイド120」のように、現在まで続く地方局発の長寿番組も誕生しています。
一方で、長年にわたり親しまれてきた番組がその歴史に幕を下ろしました。NHK総合の「連想ゲーム」（22年）、「ひるのプレゼント」（21年）、TBS系の子供向け教養番組「まんがはじめて物語」シリーズ（13年）などが終了し、テレビの世代交代を感じさせました。
既存番組でも、司会者の交代やリニューアルが頻繁に行われました。例えば、TBS系「クイズ!!ひらめきパスワード」の司会に山城新伍が、フジテレビ系「くいしん坊!万才」に辰巳琢郎が登場。報道番組では、日本テレビ系「NNNニュースプラス1」が徳光和夫アナウンサーの卒業に伴い、相川浩・桜田順子アナウンサーらを迎えて大幅にリニューアルされました。その他、「ニュースステーション」での久米宏によるニュース受けのスタイルの変更や、「クイズダービー」の解答者・出題者の入れ替わり、「アメリカ横断ウルトラクイズ」における福留功男から福澤朗への国外レポーター交代など、多くの人気番組で顔ぶれやスタイルに変化がありました。
放送技術とインフラ
放送技術面では、音声多重放送の普及がさらに進み、NHK教育テレビでは未実施地域での一斉開始により全国化を完了。多くの番組でステレオ放送や二カ国語放送が利用可能になりました。また、次世代放送技術として注目されていたハイビジョン放送の試験放送がBS 9chで開始され、高精細な映像による番組制作・視聴の可能性が探られました。
放送局の拡大と再編
この年は、日本の放送地図が大きく塗り替えられた年でもあります。4月1日には、日本初の民間衛星放送局「WOWOW（JSB日本衛星放送）」が本放送を開始し、有料放送という新たな形態を導入しました。同じ日には、岩手めんこいテレビ（フジテレビ系）、長野朝日放送（テレビ朝日系）、TXN九州（テレビ東京系）、長崎国際テレビ（日本テレビ系）と、地上波の新しいテレビ局が一度に4局も開局しました。これにより、長野県と長崎県で民放4系列のフルネット化が、福岡県エリアでは民放5系列のフルネット化が完了しました。さらに、10月1日には青森朝日放送（テレビ朝日系）と北陸朝日放送（テレビ朝日系）が開局。これに伴い、青森放送（日本テレビ系）やテレビ信州（日本テレビ系）がそれまでのクロスネット状態を解消し、単一系列のフルネット局となるなど、系列再編も進みました。既存局の記念行事も相次ぎ、TBSは開局40周年を機にCI（コーポレート・アイデンティティ）を導入し、ロゴマークを変更しています。また、国外では韓国SBSテレビジョンが開局し、日本のテレビ局との国際的な連携も見られました。
テレビ界の話題
年間を通しての視聴率では、フジテレビが1982年から数えて10年連続で年間視聴率の3冠王を達成し、その強さを示しました。業界関係者の個人的なニュースとしては、「ニュースステーション」のレギュラーコメンテーターだったジャーナリストの小林一喜氏が2月に死去したこと、そして日本テレビの看板アナウンサーだった福留功男氏が3月末で同局を退社し、フリーアナウンサーに転身したことが注目を集めました。
1991年は、湾岸戦争という世界的な出来事への対応、そして多くの新しい放送局の開局や番組の開始・終了、技術の進歩など、まさにテレビ界全体が大きく動き、変化を遂げた一年だったと言えるでしょう。
社会情勢と報道
年明け早々には湾岸戦争が勃発し、NHKと民放各局は連日、報道特別番組を組み、緊迫した情勢を伝えました。特に、多くの局が通常番組を休止する中で、テレビ東京がアニメなどを放送し、結果的に高い視聴率を獲得したことは当時話題となりました。また、国内では信楽高原鐵道列車衝突事故や雲仙普賢岳の大火砕流といった大規模災害が発生。テレビは被災地の状況を詳細に報じ、フジテレビ系列では雲仙普賢岳の被災者支援のためのチャリティー音楽特番「夜のヒットスタジオスペシャル」を放送するなど、救援活動にも貢献しました。横綱・千代の富士の引退表明やソビエト連邦でのクーデター発生など、国内外の重要なニュースにも迅速に対応しました。
番組の動き
この年は、後のテレビ界に大きな影響を与える番組が数多く誕生しました。ドラマ分野では、フジテレビ系の「東京ラブストーリー」と「101回目のプロポーズ」が社会現象となるほどの人気を博し、特に最終回はそれぞれ32.3%、36.7%という驚異的な視聴率を記録しました。これらのドラマは、その後の月9枠の方向性を決定づけるとともに、「101回目のプロポーズ」からは同枠で初のステレオ放送が導入されるなど、技術的な変化も伴いました。
情報・バラエティ番組では、日本テレビ系で「スーパーテレビ情報最前線」、「世界まる見え!テレビ特捜部」がレギュラー化。TBS系では「情熱ワイド! ブロードキャスター」、「オールスター感謝祭」といった大型番組がスタートし、「オールスター感謝祭」は年末年始や改編期の恒例特番として定着しました。フジテレビ系では小堺一機司会の「ライオンのごきげんよう」、ダウンタウンの冠番組「ダウンタウンのごっつええ感じ」、ビートたけしと逸見政孝が司会を務めた「たけし・逸見の平成教育委員会」などが放送を開始。テレビ東京系では、深夜番組「ギルガメッシュないと」がスタートし、AV女優の飯島愛を輩出するなど話題を呼びました。また、札幌テレビの「どさんこワイド120」のように、現在まで続く地方局発の長寿番組も誕生しています。
一方で、長年にわたり親しまれてきた番組がその歴史に幕を下ろしました。NHK総合の「連想ゲーム」（22年）、「ひるのプレゼント」（21年）、TBS系の子供向け教養番組「まんがはじめて物語」シリーズ（13年）などが終了し、テレビの世代交代を感じさせました。
既存番組でも、司会者の交代やリニューアルが頻繁に行われました。例えば、TBS系「クイズ!!ひらめきパスワード」の司会に山城新伍が、フジテレビ系「くいしん坊!万才」に辰巳琢郎が登場。報道番組では、日本テレビ系「NNNニュースプラス1」が徳光和夫アナウンサーの卒業に伴い、相川浩・桜田順子アナウンサーらを迎えて大幅にリニューアルされました。その他、「ニュースステーション」での久米宏によるニュース受けのスタイルの変更や、「クイズダービー」の解答者・出題者の入れ替わり、「アメリカ横断ウルトラクイズ」における福留功男から福澤朗への国外レポーター交代など、多くの人気番組で顔ぶれやスタイルに変化がありました。
放送技術とインフラ
放送技術面では、音声多重放送の普及がさらに進み、NHK教育テレビでは未実施地域での一斉開始により全国化を完了。多くの番組でステレオ放送や二カ国語放送が利用可能になりました。また、次世代放送技術として注目されていたハイビジョン放送の試験放送がBS 9chで開始され、高精細な映像による番組制作・視聴の可能性が探られました。
放送局の拡大と再編
この年は、日本の放送地図が大きく塗り替えられた年でもあります。4月1日には、日本初の民間衛星放送局「WOWOW（JSB日本衛星放送）」が本放送を開始し、有料放送という新たな形態を導入しました。同じ日には、岩手めんこいテレビ（フジテレビ系）、長野朝日放送（テレビ朝日系）、TXN九州（テレビ東京系）、長崎国際テレビ（日本テレビ系）と、地上波の新しいテレビ局が一度に4局も開局しました。これにより、長野県と長崎県で民放4系列のフルネット化が、福岡県エリアでは民放5系列のフルネット化が完了しました。さらに、10月1日には青森朝日放送（テレビ朝日系）と北陸朝日放送（テレビ朝日系）が開局。これに伴い、青森放送（日本テレビ系）やテレビ信州（日本テレビ系）がそれまでのクロスネット状態を解消し、単一系列のフルネット局となるなど、系列再編も進みました。既存局の記念行事も相次ぎ、TBSは開局40周年を機にCI（コーポレート・アイデンティティ）を導入し、ロゴマークを変更しています。また、国外では韓国SBSテレビジョンが開局し、日本のテレビ局との国際的な連携も見られました。
テレビ界の話題
年間を通しての視聴率では、フジテレビが1982年から数えて10年連続で年間視聴率の3冠王を達成し、その強さを示しました。業界関係者の個人的なニュースとしては、「ニュースステーション」のレギュラーコメンテーターだったジャーナリストの小林一喜氏が2月に死去したこと、そして日本テレビの看板アナウンサーだった福留功男氏が3月末で同局を退社し、フリーアナウンサーに転身したことが注目を集めました。
1991年は、湾岸戦争という世界的な出来事への対応、そして多くの新しい放送局の開局や番組の開始・終了、技術の進歩など、まさにテレビ界全体が大きく動き、変化を遂げた一年だったと言えるでしょう。
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