1999年アジア野球選手権大会

1999年アジア野球選手権大会

1999年9月11日から9月17日までの日程で、韓国の首都ソウルにて「1999年アジア野球選手権大会」が開催されました。この大会は、翌年に控えたシドニーオリンピックの野球競技におけるアジア地域の予選を兼ねており、参加国の中から上位2カ国がオリンピック本戦への出場権を獲得するという、非常に重要な位置づけの大会でした。

プロ野球選手の歴史的な初参加

この大会が特に注目を集めたのは、日本代表チームに日本のプロ野球選手が初めて国際大会へ参加したという点です。その背景には、前年の1998年に開催されたアジア競技大会で、プロ選手を主体とした韓国代表に敗れた経験がありました。この結果を受けて、アマチュア選手のみでは国際レベルでの勝利が困難であるとの認識が生まれ、日本もプロ野球選手の力を借りて国際大会に臨むことが決定されたのです。

この画期的な出来事として、以下の8名のプロ野球選手が、日本の野球日本代表のユニフォームを初めて身につけ、国際試合の舞台に立ちました。

古田敦也
松坂大輔
川越英隆
小池秀郎
野村謙二郎
松中信彦
初芝清
井出竜也

これは、その後の野球日本代表の編成において、プロアマ混成チームが主流となる流れを作る、日本の野球史における重要な一歩となりました。

参加国と大会形式

今大会には、開催国である韓国、日本、チャイニーズタイペイ、中華人民共和国、フィリピン、タイの計6カ国が参加しました。

大会は、まず参加国を2つのグループに分けた予選リーグを実施。その後、各グループの上位チームが決勝リーグに進出し、オリンピック出場権をかけて争いました。また、予選リーグの下位チームによる5位決定戦も行われました。

全ての試合は、ソウル市内にある蚕室総合運動場野球場という単一会場で行われました。

大会の経過と結果

決勝リーグを含む大会期間中には、記憶に残るプレーがいくつか見られました。特に、当時まだ10代ながら注目を集めていた投手、松坂大輔選手（前々日に10代最後の誕生日を迎えていました）が、ベテラン捕手である古田敦也選手とのバッテリーで臨んだある試合では、相手打線をわずか1失点に抑え込む完投勝利を収めるという圧巻の投球を見せました。また、重要な局面で、松坂選手の高校の先輩にあたる平馬淳選手がサヨナラヒットを放ち、チームを勝利に導く劇的な場面もありました。

激しい戦いを経て、最終的にシドニーオリンピックへの出場権を獲得したのは、韓国と日本の2カ国でした。

日本代表チーム

この大会に臨んだ野球日本代表のメンバーは、以下の通りです。前述の通り、プロ8名とアマチュア選手で構成されたチームでした。

監　督: 大田垣耕造
コーチ: 長崎慶一、野村収、林裕幸、広岡達朗
投　手: 杉浦正則、山田秋親、石川雅規、森憲久、高橋薫、小池秀郎、川越英隆、松坂大輔
捕　手: 的場直樹、古田敦也、阿部慎之助
内野手: 松中信彦、高橋賢司、工藤賢二、平馬淳、初芝清、沖原佳典、阿部真宏、野村謙二郎
外野手: 飯塚智広、鷹野史寿、梶山義彦、赤星憲広、井出竜也

この大会は、日本野球界にとってプロアマの垣根を越えたチーム編成の可能性を示すとともに、シドニーオリンピック出場を勝ち取るという目標を達成した、歴史的な意義を持つ大会となりました。

(関連情報)
2000年シドニーオリンピックの野球競技
日本野球機構オフィシャルサイト

もう一度検索