2000年のイギリスツーリングカー選手権

2000年 オートトレーダーRAC英国ツーリングカー選手権：激動のシーズン

2000年のオートトレーダーRAC英国ツーリングカー選手権(BTCC)は、43シーズン目を迎えました。ブランズ・ハッチで幕を開け、シルバーストンで閉幕した全12戦24ラウンドのレースは、スーパーツーリング最終年ということもあり、大きな注目を集めました。

このシーズン最大のトピックは、シリーズの顔とも言えるスーパーツーリングカーの終焉です。日産、ルノー、ボルボといったワークスチームがコスト高騰を理由に撤退し、ワークスサポート体制をとったのはフォード、ホンダ、ボクスホールの3メーカーのみとなりました。

ドライバーの入れ替わり: この撤退劇により、ドライバー陣にも大きな変化がありました。1999年チャンピオンのローレン・アイエロはBTCCを離れ、アウディに移籍。代わりにホンダには、ル・マン24時間レース優勝経験を持つトム・クリステンセンが加入しました。また、ピーター・コックスはヨーロッパツーリングカー選手権に転向、1998年チャンピオンのリカルド・リデルは、プロドライブ・フォードチームへと移籍し、アラン・メニュ、アンソニー・レイドと強力な布陣を組むことになります。ボクスホールにはイヴァン・ミュラーが残留、ルノーからジェイソン・プラト、ボルボからヴィンセント・ラダーメッカが加入するなど、チーム事情は大きく変化しました。一方、ベテランのジョン・クレランドは引退を表明。一方、1999年にインディペンデントタイトルを獲得したマット・ニールは日産・プリメーラで参戦を継続します。

激しい戦いとフォードの優位性: シーズンを通して、各メーカーがしのぎを削る激しいレースが展開されました。フォードが圧倒的な強さを見せつけながらも、メインクラスのフルシーズン参戦ドライバー10名中9名が優勝を経験するなど、予想をはるかに超える接戦となりました。優勝を逃したのはヴィンセント・ラダーメッカのみでした。

レギュレーション変更: 2000年シーズンでは、レースをより緊迫感のあるものにするため、いくつかのレギュレーションが変更されました。まず、タイヤ。シリーズの供給元であるミシュランは新しいタイヤコンパウンドを開発しましたが、インターミディエイトタイヤは廃止。ドライとフルウェットのみとなり、タイヤ選択の難しさは増しました。さらに、タイヤウォーマーの使用も禁止されたため、ドライバーたちは常にコールドタイヤでのスタートを強いられることになります。また、コスト削減のため、各チームに使用が許されるドライタイヤは28セットに制限されました。

もう一つの大きな変更点は、サクセスバラストの導入です。上位3名に次戦のレースで搭載するバラスト重量が割り当てられ、優勝者は40kg、2位は30kg、3位は20kgのバラストを搭載しなければなりませんでした。また、予選とスプリントレースの間にエンジンの変更は禁止され、違反した場合にはグリッド降格ペナルティが科せられました。さらに、不可抗力の場合を除き、ドライバーの交代も禁止されました。

ポイントシステムも変更されました。マニュファクチャラーズチャンピオンシップでは、各チームが指名できるドライバー数が最大3名に制限され、ドロップポイントシステムも導入。各ドライバーはシーズン中の最低4戦分のポイントを除外してランキングが決定されました。また、プライベートテストは大幅に制限され、コスト削減とレースの予測困難さを高めることが狙われました。

クラスBの導入: グリッド規模の拡大を目的として、FIAスーパープロダクションレギュレーションに準拠した「クラスB」が新設されました。これは、ナショナルサルーン選手権からの参戦要請に応える形で実現し、ナショナルモーターレーシングシリーズの認知度向上にも貢献しました。

インディペンデント選手権: インディペンデントチャンピオンシップの参加費は廃止され、参加チームはレースごとに5000ポンドの参加費を受け取り、タイヤも無料で支給されるようになりました。カテゴリーチャンピオンには10000ポンドの賞金が贈られました。

結果: 最終的にドライバーズチャンピオンシップはアラン・メニュが制し、チームメイトのアンソニー・レイドが2位、リカルド・リデルが3位となりました。ミシュランカップはマット・ニールが獲得、クラスBのチャンピオンはアラン・モリソンでした。

2000年シーズンは、レギュレーション変更、ドライバー交代、そしてスーパーツーリングカーの終焉など、様々な要素が絡み合った、非常に激動のシーズンとなりました。しかし、その激しさこそが、このシーズンの魅力であり、多くのファンを魅了したと言えるでしょう。

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