2000年の航空

2000年は、世界の航空業界にとって様々な出来事が相次いだ記憶に残る一年となりました。新たな航空会社が誕生し、大規模な航空連合が発足するなど業界構造の変化が見られた一方で、悲劇的な航空事故も発生しました。

年初には、冒険的な飛行が記録されました。イギリスのデイヴィッド・ヘンプルマン＝アダムズ氏は、気球を用いて北極点への到達という偉業を達成しました。また、同じくイギリスのジェームズ・デクスター氏とミカエル・ケンドリック氏は、飛行船による速度記録となる時速92.8キロメートルを樹立し、空の旅の多様性を示す出来事となりました。

新規事業の展開も活発でした。2月11日には、アメリカ合衆国で新興航空会社のジェットブルー航空が、ニューヨークのジョン・F・ケネディ国際空港とフロリダ州フォートローダデールを結ぶ路線で運航を開始しました。これにより、米国内線の競争環境に変化がもたらされました。さらに、キプロスでは、同国初の独立系民間航空会社であるヘリオス航空が、5月15日に最初のチャーター便を飛ばしました。オーストラリアでも、国内線に特化した格安航空会社であるヴァージン・ブルーが、8月31日からサービスを開始し、利用者に新たな選択肢を提供しました。

航空業界における提携と再編も進みました。6月22日には、アエロメヒコ航空、エールフランス、デルタ航空、大韓航空という世界各地の主要航空会社4社が協力し、新たなグローバル航空連合である「スカイチーム」が設立されました。これは既存の航空連合に対抗し、加盟航空会社のネットワーク強化やサービス向上を目指す動きでした。また、欧州の航空宇宙産業は統合の波に乗り、7月10日にはエアバス社と複数の欧州航空宇宙関連企業が合流し、EADS社（現在のエアバスSE）が誕生しました。これにより、欧州の航空機製造および防衛産業における競争力が強化されました。

新型機の開発も進みました。2月29日には、ロシアのミコヤン設計局がロシア空軍向けに開発を進めていた第5世代ジェット戦闘機の概念実証機「1.44」が初めて空を飛びました。これはロシアが将来の戦闘機開発に向けて重要な一歩を踏み出したことを示す出来事でした。また、アメリカでは、将来の戦闘機プログラムに関連して開発されていたボーイング社の実験機「X-32A」が、9月18日に無事初飛行を完了しました。

しかし、この年は悲劇的な事故によっても記憶されています。4月14日、コンゴ民主共和国のキンシャサ空港で爆発事故が発生し、100名以上の尊い命が失われたほか、2機の航空機が破壊されました。そして、この年の航空界における最も衝撃的な出来事の一つが、7月25日にフランスのシャルル・ド・ゴール空港で発生したコンコルド墜落事故です。ニューヨークへ向かうエールフランスの4590便が離陸直後に主翼から出火し、わずか2分後に墜落。搭乗していた109名全員に加え、地上の4名も犠牲となり、10名以上が負傷しました。この事故は超音速旅客機コンコルドの安全性に大きな疑問を投げかけ、その後の運命に決定的な影響を与えました。実際、事故を受けて、コンコルドの耐空証明は8月16日に一時停止される事態となりました。その他にも、9月6日にはフランスで消防活動に従事していたロッキードC-130輸送機が墜落する事故も発生しています。

航空分野で顕著な功績を残した人々には、様々な賞が贈られました。フランス飛行クラブ大賞はジャン＝ピエール・エニュレ氏が受賞し、ハーモン・トロフィーは気球での北極点到達を果たしたデイヴィッド・ヘンプルマン＝アダムズ氏に贈られました。飛行船の速度記録を樹立したジェームズ・デクスター氏とミカエル・ケンドリック氏はデラボー賞を受賞しました。

このように、2000年は技術開発、企業活動、そして安全性の面で、航空界にとって非常に密度の濃い一年であり、その後の業界の方向性にも影響を与える出来事が数多く発生しました。

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