2019年のラジオ (日本)

2019年は、日本全体が平成から令和へと元号を改めた節目の年であり、ラジオ業界もまた、大きな変化の波を経験しました。数多くの番組が新たに始まり、長年にわたる歴史を持つ番組が終了するなど、活発な動きが見られました。この一年を振り返ると、社会的な出来事への対応、技術的な進化、そして聴取者との関わりを深めるための様々な取り組みが浮かび上がってきます。

番組の新設と終了

この年のラジオシーンを特徴づけたのは、大規模な番組改編です。特に顕著だったのが、平日昼間や夕方の帯番組の刷新でした。TBSラジオでは『ACTION』、文化放送では『なな→きゅう』やナイターオフ枠の『みらいブンカ village』、ニッポン放送では『DAYS』やナイターオフの報道番組『ザ・フォーカス』が放送を開始。TOKYO FMも朝のニュースワイド『ONE MORNING』をスタートさせるなど、各局が新しい顔ぶれや内容でリスナーにアピートしました。東海ラジオではプロ野球・中日ドラゴンズとの連携を深めた『ドラゴンズステーション』が始まり、地域に根差した放送の強化も見られました。

一方で、多くの長寿番組が終了を迎えました。NHKラジオ第一では、15年続いた『かんさい土曜ほっとタイム』や、32年の歴史を持つ音楽番組『歌の日曜散歩』、11年続いた『日曜バラエティー』などが終了。民放でも、TBSラジオの『荒川強啓 デイ・キャッチ!』（24年）、TOKYO FMの『中西哲生のクロノス』（10年）、ニッポン放送の『土屋礼央 レオなるど』（3年）といった、局の顔とも言える番組が幕を下ろしました。特にAKB48関連の番組は、『AKB48のオールナイトニッポン』が9年の歴史に区切りをつけ、後継番組がスタートするなど世代交代の動きが見られました。地方局でも、STVラジオの『ウイークエンドバラエティ 日高晤郎ショー フォーエバー』や、エフエム山口の『ウキウキ放送局!零-ゼロ-』がシリーズ開始から33年以上の歴史に終止符を打ちました。

深夜放送の代表格である『オールナイトニッポン』シリーズでも改編が行われ、『乃木坂46のオールナイトニッポン』や『三四郎のオールナイトニッポン』が『0(ZERO)』から昇格。また、『0(ZERO)』枠には佐久間宣行氏やKing Gnu|King_Gnuの井口理氏、霜降り明星といった、多様なジャンルのパーソナリティが新たに加わり、話題を呼びました。

社会との関わりと特別企画

2019年は改元、参議院議員通常選挙、そして令和元年東日本台風（台風19号）といった大きな出来事が続きました。ラジオ各局はこれらの出来事に対し、報道特別番組を編成し、迅速な情報提供に努めました。特に台風19号接近・上陸時には、定時番組を変更して長時間にわたり災害情報を放送するなど、ラジオのライフラインとしての重要性が改めて認識されました。

また、放送業界全体での協力も見られました。NHKと民放連による共同ラジオキャンペーン「#このラジオがヤバい」が実施され、相互乗り入れの特別番組が放送されるなど、ラジオの魅力を共に発信する試みが行われました。

記念事業も活発で、ニッポン放送は開局65周年を記念した16時間50分に及ぶ生放送特番を放送。エフエム愛知など複数のFM局が開局50周年を迎え、記念ソングやイベントを展開しました。長期シリーズや人気番組の記念回も祝われ、TBSラジオの『大竹まこと ゴールデンラジオ!』や『たまむすび』、ニッポン放送の『笑福亭鶴瓶 日曜日のそれ』などが節目の放送回を迎えました。

特別番組では、普段ラジオに出演しない俳優やアーティスト、さらにはYouTuberなど、多種多様なゲストが登場しました。吉田拓郎氏や中山美穂氏、吉永小百合氏（74歳でANN初担当）といったベテランから、BiSH、SixTONES、日向坂46の加藤史帆氏、欅坂46を卒業した長濱ねる氏、フリー転身後の宇垣美里氏など、旬の顔ぶれがパーソナリティとして特別番組を担当し、大きな反響を呼びました。また、スポーツイベントの中継も行われ、ラグビーワールドカップやプロ野球クライマックスシリーズ・日本シリーズ、東京五輪マラソン代表選考会などが放送されました。

技術・経営・人の動き

技術・経営面では、IPサイマルラジオ「radiko」において、これまで期間限定・実験的だったNHKラジオ第1・FM放送の正式配信が開始されました。一方で、V-Low帯マルチメディア放送「i-dio」は、運営会社の経営問題（エフエム東京の不適切会計も関連）が表面化し、一部チャンネルの放送休止・終了、事業撤退が発表されるなど、サービス継続が困難な状況となりました。また、AMラジオ局がAM放送を廃止しFMに転換することを可能にする制度改正に向けた議論が進展したことも、今後のラジオ界のあり方を考える上で重要な動きでした。地方局では、RSK山陽放送が認定放送持株会社へ移行するなど、経営統合・再編の動きも見られました。

ラジオを支える「人」の面でも様々な出来事がありました。フリーアナウンサーへの転身（宇垣美里氏、垣花正氏など）や、病気による休養（高橋なんぐ氏、室井佑月氏、八木亜希子氏など）、ベテランDJの引退表明（ヒロ寺平氏、松原敬生氏）などが伝えられました。また、お笑いタレントの不祥事（闇営業問題）に伴う謹慎処分は、関係するラジオ番組の出演者変更や番組サイトの対応など、各局に影響を及ぼしました。オードリーの春日氏、若林氏がそれぞれ自身の番組内で結婚を生報告したことも、ラジオならではの出来事として多くのリスナーに共有されました。さらに、長年にわたりラジオの世界で活躍した著名な声優、俳優、評論家、解説者などの訃報が複数伝えられ、ラジオ界にとって大きな損失となりました。

2019年は、新しい時代の幕開けとともに、ラジオがその多様性を保ちつつ、変化に適応しようとする姿が強く印象付けられた一年と言えるでしょう。番組内容、技術、経営、そしてそれを支える人々の様々な動きが交錯し、ラジオの現在地と未来への課題を浮き彫りにしました。

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