2025年のテレビ (日本)

2025年のテレビ界：激動と変革の一年

2025年（令和7年）の日本のテレビ業界は、数多くの長寿番組がその歴史にピリオドを打ち、同時に新たな番組がスタートするなど、大きな変革の年となりました。また、一部で報じられた著名人の問題行動や、それに対する各局の対応、放送局の経営や人事に関する動きなど、様々な出来事が世間の注目を集めました。この波乱に富んだ一年を、主なトピックに沿って振り返ります。

番組編成の動き

年初には、例年通りスポーツやエンターテインメントの特別番組が放送されました。『第103回全国高等学校サッカー選手権大会』や『第101回東京箱根間往復大学駅伝競走』の中継に加え、フジテレビ系の元日恒例特番『新春!爆笑ヒットパレード』は司会がかまいたちにバトンタッチ。箱根駅伝後には関連特番が放送され、中継では史上初の女性アナウンサーによる中継所実況が実現しました。『欽ちゃん&香取慎吾の全日本仮装大賞』は記念すべき第100回大会を迎え、『SASUKE』の女性版『KUNOICHI』が7年ぶりに復活するなど、往年の人気企画も話題となりました。

春の改編期にかけては、多くの番組が終了を迎えました。日本テレビ系では29年の歴史を持つ『ズームイン!!サタデー』や23年の歴史を誇る『行列のできる相談所』が終了。フジテレビ系では『めざまし8』が4年、『ワイドナショー』が11年半の歴史に幕を下ろし、長寿トーク番組『はやく起きた朝は…』の地上波放送も31年で一区切りとなりました（CSでの継続は予定）。読売テレビ制作では『ウェークアップ』がシリーズ34年、関西ローカルの『今田耕司のネタバレMTG』が前身含め12年半、『ダウンタウンDX』が31年9ヶ月という異例の長寿番組が終了しました。NHK Eテレでも、乳幼児向けアニメ『パッコロリン』（14年）、情報バラエティ『バリバラ』（12年）、教育バラエティ『ワルイコあつまれ』（4年）といった番組が終了しました。

一方で、新しい試みや番組の復活も見られました。タモリが再び旅に出るNHK総合の紀行番組『ブラタモリ』がレギュラー放送を再開。日本テレビ系ではSixTONESが出演するゲーム・トークバラエティ『Golden SixTONES|Golden_SixTONES』がレギュラー化しました。テレビ東京系ではかまいたちMCの『JAPANをスーツケースにつめ込んで!』や、亀梨和也が独立後初のレギュラーMCを務める動物バラエティ『世界を救う!ワンにゃフル物語』がスタートしました。アニメ分野では、『魔法つかいプリキュア!!〜MIRAI DAYS〜』や再アニメ化された『真・侍伝 YAIBA』などが放送開始。フジテレビ系の深夜アニメ枠「ノイタミナ」が全国ネットに昇格し、『謎解きはディナーのあとで』のアニメ版が放送されるなど、アニメファンにとっても注目の年となりました。

問題事案と各局の対応

2025年は、一部の芸能人に関する問題がテレビ業界に大きな波紋を広げました。年明けに報じられたタレント・中居正広氏を巡る問題では、出演番組でのシーンカット、放送休止、さらにはレギュラー番組からの降板や打ち切りといった事態が相次ぎました。これに対し、フジテレビは問題に関連する経緯の説明や第三者委員会の調査報告に関する記者会見を複数回開催し、対応に追われました。

また、吉本興業所属タレントによるオンラインカジノへの関与疑惑が浮上し、複数のタレントが活動自粛や事務所からの契約終了を発表しました。これにより、該当タレントが出演予定だった番組で内容変更や出演シーンのカットなどの対応が取られました。

番組制作に関わる問題もいくつか表面化しました。日本テレビ系『月曜から夜ふかし』では、街頭インタビューでコメントを捏造した疑いが報じられ、BPOが審議入りしました。TBS系『水曜日のダウンタウン』では、ドッキリ企画で実在の小学校名を使用し、謝罪に至りました。フジテレビ系『ぽかぽか』やABEMAの麻雀中継に関連しても不適切な表現や言動が問題視され、謝罪や対応が行われています。毎日放送制作のバラエティ番組では、遺品整理の模様が事実と異なるとBPOから放送倫理違反と判断されました。テレビ朝日の社員による不適切な経理処理やハラスメント疑惑も報じられ、社内処分が実施されました。

放送局の動きと人事の変動

放送局の経営体制や人事にも大きな動きが見られました。日本テレビ系列の主要4局（札幌テレビ、中京テレビ、読売テレビ、福岡放送）は連携を深め、認定放送持株会社「読売中京FSホールディングス」を設立し、経営統合を実施しました。BS放送では、ジャパネットブロードキャスティング運営のBSJapanextが「BS10」に名称を変更し、スターチャンネルを吸収統合する形でリニューアルしました。一方で、松竹はBS放送事業からの撤退を発表し、BS松竹東急が放送を終了する予定となるなど、BS放送の環境にも変化がありました。WOWOW 4Kも放送を終了しています。

アナウンサーの退職や異動も多数発生しました。TBSテレビのホラン千秋氏や宇内梨沙氏、フジテレビの永島優美氏や椿原慶子氏、NHKの牛田茉友氏や中川安奈氏など、多くのベテランや人気アナウンサーが局を離れ、フリーランスや他分野での活動を選択しました。地方局でもアナウンサーの退職や移籍、番組担当者の交代が頻繁に見られました。特にテレビ宮崎では、民放では初めてとなる女性アナウンサー出身の社長が誕生する予定です。

著名人の訃報

テレビ業界に長年貢献してきた多くの著名人が惜しまれつつこの世を去りました。長年にわたり司会者やコメンテーターとして親しまれたフリーアナウンサーのみのもんた氏（80歳没）、政治評論家の俵孝太郎氏（94歳没）、経済アナリストの森永卓郎氏（67歳没）。歌手の三浦洸一氏（97歳没）、アイ・ジョージ氏（91歳没）、いしだあゆみ氏（76歳没）。俳優の下條アトム氏（78歳没）、山口崇氏（88歳没）、そして追悼特番も放送された西田敏行氏。声優の津田英治氏（76歳没）、川浪葉子氏（67歳没）。映画監督の篠田正浩氏（94歳没）。そして、俳優の板垣瑞生氏（24歳没）の早すぎる訃報も多くの人に衝撃を与えました。

記念と周年

日本のテレビ放送史において、いくつかの節目となる記念や周年を迎えました。オールニッポン・ニュースネットワーク（ANN）結成から55周年、東京・大阪間のいわゆる「腸捻転解消」から50周年、NHKプラスのサービス開始から5周年、カラーテレビ本放送開始から65周年、BSデジタル放送開始から25周年など、多岐にわたる記念日が続きました。番組では、『パネルクイズ アタック25』が前身番組から通算して放送開始50周年を迎え、これを記念した特別番組が放送されました。

2025年は、長寿番組の大量終了と新番組の開始、著名人を巡る複数の不祥事とその影響、そして放送局の構造変化など、テレビ業界全体にとって変革と対応を求められる、記憶に残る一年となりました。

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