AN/SPQ-9

AN/SPQ-9 レーダーシステムについて

AN/SPQ-9は、アメリカのロッキード・マーティン社が製造した2次元レーダーであり、その主要な役割は艦船の防空システムにおける水上および航空目標の捕捉・追尾です。1980年代に導入されたこのレーダーは、当初Mk.86砲射撃指揮装置と組み合わせて利用され、その後の進化を遂げてきました。

概要

AN/SPQ-9Aは、優れた走査速度を持ち、60rpmでの動作が可能なパルス・ドップラー・レーダーです。このレーダーは、特に水上目標や低高度の空中目標に対して高い追尾能力を発揮します。Mk.86システムとの連携により、同時に最大4つの水上目標を追尾することが可能であり、当時としては先進的な技術でした。

1967年に平均故障間隔（MTBF）は784時間とされ、その後も改良が続けられました。1970年には運用開始され、1989年には低ノイズ化フロントエンド（LNFE）に対応した改修キットが導入されました。1990年度には、小型目標への対応能力を強化するための追加改修も実施されています。

AN/SPQ-9Bの改良

1990年代に入ると、対艦ミサイル防御計画に基づき、AN/SPQ-9Bの開発が始まりました。この新型レーダーは1997年からの導入が進められ、1999年には初期作戦能力が獲得されました。AN/SPQ-9Bは、先代モデルに比べ、アクティブ・フェーズドアレイ・アンテナが採用され、F-16C戦闘機に搭載されるAN/APG-68|AN_APG-68技術を基にした新型送受信機も導入されています。

改善された探知能力により、低高度の空中目標、特にシースキマーの探知が強化され、これにより艦艇自衛システム（SSDS）へ統合されることで、海上での脅威に対する対応能力が向上しました。また、これによりSバンドのAN/SPY-1|AN_SPY-1レーダーとの連携も強化され、統合的な防空システムが展開されています。

2016年には、潜望鏡の検出と識別能力を追加する改良が始まり、カリフォルニア沖で実弾射撃試験が行われ、中でも「レイク・シャンプレイン」が最初の試験を担当しました。

採用されている艦船

AN/SPQ-9は、アメリカ海軍のさまざまな艦船で採用されており、その中にはカリフォルニア級巡洋艦、スプルーアンス級駆逐艦、アーレイ・バーク級ミサイル駆逐艦、ニミッツ級航空母艦などが含まれます。また、アメリカ沿岸警備隊のバーソルフ級カッターや、オーストラリア海軍のホバート級駆逐艦、ドイツ海軍のリュッチェンス級駆逐艦など、海外の軍隊でも広く使用されています。

さらに、日本の海上自衛隊においてもあたご型及びまや型護衛艦への搭載が進められており、他国の艦艇の防空能力強化に寄与しています。

まとめ

AN/SPQ-9は、艦艇における自衛の要となる重要なレーダーシステムであり、戦術的な状況に応じた高い対応能力を持っています。これにより、現代の海上戦闘において不可欠な存在となっているのです。

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