ホバート級駆逐艦

ホバート級駆逐艦について

ホバート級駆逐艦（英: Hobart-class destroyer）は、オーストラリア海軍に所属するミサイル駆逐艦であり、特にイージスシステムを搭載した艦級です。この艦級は、スペイン海軍のアルバロ・デ・バサン級を基に設計を修正した派生型として知られています。

経緯

1960年代に入ると、オーストラリア海軍は軍事技術の面でイギリス海軍への依存から脱却し、アメリカのターター・システムを採用する方向へと進みました。その第一歩として、1962年と1963年にパース級駆逐艦3隻が発注され、長年にわたり主力艦として運用されました。しかし、2000年にパース級が退役すると、海軍の防空能力に深刻な問題が生じ、これに対処するために新たな艦艇の建造が模索されました。

SEA1400計画が1990年代から始まりましたが、財政や政治の問題により進展は遅れました。その後、パース級の引退に伴い、具体的な設計が進められ、最終的にはスペインのナバンティア社の設計が選ばれ、2007年に建造契約が締結されることになりました。

設計の概要

ホバート級駆逐艦は、スペインのアルバロ・デ・バサン級フリゲートを基本に設計されています。船体のサイズは全長が30センチ、幅が7センチ、排水量が400トン増加しており、反面外観は大きな変更が見られません。艦橋には多機能レーダーが搭載されており、周囲の構造も改良されました。

機関については、キャタピラー製のディーゼルエンジンとゼネラル・エレクトリック製のガスタービンエンジンを組み合わせたCODOG方式が採用されています。また、航続距離も延長され、より多くの燃料を搭載できるようになっています。

装備内容

ホバート級の特徴的な装備は、イージス武器システム（AWS）です。これにより、艦は高度な防空能力を持ち、AN/SPY-1|AN_SPY-1D(V)というアンテナを四方に設置しています。これにより、戦術データリンクや共同交戦能力に対応しています。また、この艦に搭載されるイージスシステムは、既に運用経験のある海上自衛隊の助言を受けて選定されました。

艦対空ミサイルの発射装置として、Mk.41 VLSを搭載し、最大で32発のSM-2ブロックIIIBや64発のESSMを運用可能です。2022年以降には、SM-2の代わりにSM-6が搭載される予定です。さらに、艦対艦ミサイルとしてハープーンを備えており、最新のNSMに切り替えられる艦も存在します。

運用機能

ホバート級は、艦載機の運用能力も高く、中型ヘリコプターや無人航空機を搭載できるようになっています。船尾にはヘリコプター甲板が広く配置され、退役艦との理念に基づいて、最新技術を導入しています。

このように、ホバート級駆逐艦はオーストラリア海軍の戦力を強化するために設計された現代的な艦艇であり、海上防衛の重要な役割を担っています。

もう一度検索