AVマルチ

AVマルチコネクター：PlayStationを支えた多機能端子

AVマルチコネクターは、アナログ映像信号とステレオ音声信号を同時に伝送できる接続端子です。特に、ソニー・コンピュータエンタテインメントのPlayStationシリーズにおいて広く採用され、多くのユーザーにとって馴染み深いインターフェースと言えるでしょう。本記事では、このAVマルチコネクターを中心に、その歴史、仕様、そして現在における状況を詳細に解説します。

PlayStationとAVマルチコネクター

初代PlayStationからPlayStation 2、PlayStation 3まで、AVマルチコネクターは標準装備として搭載されていました。標準で付属するケーブルは、テレビ側の入力端子がコンポジットビデオ（RCA端子）に対応したものが一般的でした。これにより、多くの家庭用テレビと容易に接続することができました。

オプションとして、S端子、RF端子、そしてRGB21ピンに対応したケーブルも販売されていました。特に、RGB21ピン接続は高画質出力を実現し、ソニーのWEGAシリーズなどの高画質テレビとの組み合わせでその真価を発揮しました。RGB接続は、配線の簡素化にも貢献し、ソニーのテレビの大きなアドバンテージとなっていました。

PlayStation 2とRGB出力

PlayStation 2の初期モデルでは、DVDプレーヤー機能においてリージョンコード制限を回避できる不具合や、RGB映像信号へのコピーガード問題が表面化しました。そのため、後期のモデルではDVD再生時のRGB出力が制限されるようになり、結果としてAVマルチ端子によるDVD再生が事実上不可能になるケースも発生しました。この問題を受け、コンポーネント端子やD端子に対応したAVマルチケーブルがオプションとして販売されるようになりました。

AVマルチコネクターの終焉とその後

2005年、ソニーのテレビブランドが「WEGA」から「BRAVIA」へと移行した際に、AVマルチコネクターの搭載は見送られました。KLV-15SP2とKLV-15AP2という15インチ液晶テレビが、AVマルチコネクターを搭載した最後の機種となりました。これにより、AVマルチコネクターは歴史の幕を閉じました。

しかし、現在でもAVマルチコネクターを活用できる方法が存在します。例えば、PS2用のコンポーネントAVケーブルとXbox用のコンポーネントAVパックを組み合わせることで、テレビのAVマルチ端子を利用して高画質出力を楽しむことができます。

AVマルチコネクターの出力信号

AVマルチコネクターは、以下の信号を出力することができました。

RF（RF接続）
コンポジットビデオ
S映像
RGB（RGB21ピン、SCART端子）※PlayStation 2初期型のみ、DVD再生時
コンポーネントビデオ
D端子
* ステレオ音声（RCA端子）

SCART端子接続ケーブルは、非純正品ながらヨーロッパのAV機器メーカーから発売されていたため、改造によって互換性を持たせることも可能でした。

最後に

AVマルチコネクターは、その多様な出力信号と接続性の高さから、長きに渡り家庭用ゲーム機ユーザーに親しまれてきました。HDMIやその他のデジタルインターフェースが登場した現在ではその存在感は薄れていますが、レトロゲーム愛好家にとって、AVマルチコネクターは、思い出深い接続方法の一つとして記憶されているでしょう。そして、その歴史は、ゲーム機とテレビの進化を象徴する重要な技術の一つとして、今後も語り継がれていくことでしょう。

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