Amazon Elastic Compute Cloud

Amazon Elastic Compute Cloud (EC2)とは

Amazon EC2は、Amazon Web Services (AWS) が提供する、スケーラブルなコンピューティングリソースを提供するウェブサービスです。ユーザーは、仮想サーバーであるインスタンスを必要に応じて作成し、任意のソフトウェアを実行できます。このサービスは、利用時間に応じた従量課金制を採用しており、柔軟なリソース管理とコスト最適化を可能にします。

EC2の歴史

EC2は2006年8月25日に、限定的なパブリックベータとして発表されました。当初は一部のユーザーに公開され、その後、広く利用されるようになりました。

仮想マシンについて

EC2は、初期にはXenハイパーバイザーを使用して仮想化を行っていましたが、2017年のC5インスタンスの導入以降、KVMベースのNitro Hypervisorも利用可能になりました。インスタンスのサイズは、最小のマイクロインスタンス（613MBのメモリ、32ビットの1仮想コアCPU）から、最大のハイメモリクアドループルエクストララージインスタンス（68.4GBのメモリ、1690GBのローカルストレージ、64ビットの8仮想コアCPU）まで、多岐にわたります。また、GPGPUを利用するためのNVIDIA Tesla Fermi M2050を2基搭載したインスタンスも提供されています。

インスタンスの起動時間は即時であり、必要なときに必要なだけリソースを調達できます。また、稼働中のインスタンスのイメージはAMI形式で保存でき、異なるサイズの仮想マシンで起動することも可能です。

インスタンスの性能

2011年にはCore 2世代、2012年にはNehalemマイクロアーキテクチャが主に利用されていました。2011年11月のスーパーコンピュータTOP500リストでは、クラスタコンピュート8エクストララージが1064インスタンス、240.09TFLOPSで42位にランクインしました。この時の実行効率は67.8%でした。

EC2の所在地

EC2のサーバーは、世界中の複数のリージョンに分散して配置されています。主な所在地は以下の通りです。

日本 - 東京
アメリカ - バージニア、オレゴン、北カリフォルニア
アイルランド
シンガポール
ブラジル - サンパウロ
オーストラリア - シドニー

費用について

EC2の利用料金は、インスタンスの種類、利用時間、リージョンによって異なります。2011年2月時点の料金例として、北バージニアデータセンターのLinux最小インスタンスのオンデマンド利用は1時間あたり0.02ドル、北カリフォルニアデータセンターのWindows最大インスタンスのオンデマンド利用は1時間あたり2.76ドルでした。

長期利用を前提としたリザーブドインスタンスや、入札価格で利用できるスポットインスタンスも用意されています。スポットインスタンスは、オンデマンドよりも安価に利用できる反面、インスタンスが中断される可能性があるなどの制限があります。

データ転送料金は、アップロードは無料ですが、ダウンロードは月間10TB未満の場合、アジア地域以外で1GBあたり0.12ドル以下となっています。また、サーバーや回線の価格は、技術進歩や競争により、徐々に値下げされています。

利用可能なOS

EC2は、2006年8月のサービス開始当初からLinux環境を提供しており、その後、OpenSolarisやSolaris Express Community Editionも利用可能になりました。2008年10月からはWindows Server 2003、2009年12月からはWindows Server 2008もサポートされています。現在では、Red Hat Enterprise LinuxやSUSE Linux Enterprise Serverなどの商用OSに加え、Fedora、Ubuntu、openSUSEなどの無償OSも利用可能です。

永続的ストレージ

EC2インスタンス自体には永続的なストレージがなく、インスタンスの障害や停止時に、起動イメージに含まれないデータは失われます。そのため、永続的なストレージとして、Elastic Block Storage (EBS) が提供されています。EBSは、OSからローカルデバイスとして認識されるブロックストレージで、最大1TBの容量を利用できます。また、Simple Storage Service (S3) は、ファイル単位でデータを保存できるオブジェクトストレージで、インスタンスのイメージを保存し、複数インスタンスの生成に使用できます。

固定IPアドレス

EC2インスタンスには起動時に動的なグローバルIPアドレスが割り当てられますが、固定IPアドレスを利用したい場合は、Elastic IP Addressesサービスを利用することで、特定のインスタンスに固定IPアドレスをマッピングできます。

まとめ

EC2は、柔軟でスケーラブルなコンピューティングリソースを提供する、AWSの重要なサービスの一つです。多様なインスタンスタイプ、OS、ストレージオプションを提供し、コスト効率の高い運用をサポートします。クラウドコンピューティングの基盤として、幅広い用途に活用されています。

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