Bryce

Bryce（ブライス）は、DAZ Productions社が提供する3次元コンピュータグラフィックス（3DCG）ソフトウェアです。1994年の初期リリースから一貫して、風景CGの作成に特化しており、そのユニークな機能は他の3DCGソフトウェアとは一線を画しています。Microsoft WindowsとMac OSの両プラットフォームに対応していましたが、最新バージョンは2010年の7.0で、Intel Macに対応(MacOS 10.6まで)し、macOS 10.7以降は非対応です。

概要

通常の3DCGモデリングソフトでは、山や海岸線といった地形のモデリングは非常に複雑な作業が必要です。一見単純に見える地形でも、実際には複雑な凹凸が多数存在し、それらを自然に見えるように手作業で作り上げるには高度な技術と時間を要します。Bryceは、自然界に見られるフラクタル構造に着目し、これらの複雑な地形を自動生成する機能を持っています。

さらに、Bryceはフラクタルを活用したテクスチャの自動生成機能も備えており、山肌、大理石、電子回路のような模様、雲、水面（波面）といった多種多様でリアルなテクスチャを簡単な操作で作成できます。これらのテクスチャは、パラメータを細かく調整できるだけでなく、立体的な定義を持つため、複雑な形状に適用しても自然な外観を維持できます。一般的な3DCGソフトでは、テクスチャは2次元画像として扱われるため、球体のような形状に適用すると、伸びや縮み、不自然な繋ぎ目が発生することがありますが、Bryceではそのような心配は無用です。この点が、Bryceの大きな特徴の一つです。

Bryceは風景作成に特化したソフトウェアであるため、デフォルトの光源として「太陽」が用意されています。太陽の位置や高度を変えることで、地平線の「もや」の色が変化し、昼間、夕焼け、夜（星空）といった時間帯のシミュレーションが可能です。また、太陽の反対側には「月」が配置されており、太陽が地平線に沈むと月が昇るという、自然な光の移り変わりを再現できます。さらに、風景作成の延長として、詳細にカスタマイズ可能な「樹木」の作成機能も備えています。幹や枝の形状、葉の色や数など、様々な項目を自由に設定できます。

一方で、Bryceは地形以外のモデリング能力は限定的です。立方体、球、円柱、トーラスといったプリミティブ（基本図形）やメタボールを拡大縮小したり、ブーリアン演算を行うことしかできません。ポリゴンの編集機能は一切搭載されていません。もし他のモデリングが必要な場合は、他のソフトウェアを使用し、完成したモデルをインポートするという方針です。

Bryceという名前は、アメリカのユタ州にあるブライスキャニオン国立公園に由来しています。

歴史

Bryceは、元々Bullet-Proof Software Inc.によって開発され、後に社名がMeta Toolsに変更された際に発売されたソフトウェアです。1997年2月にはFractal Designと合併し、Meta Creationからの発売となりました。その後、Painterとともにコーレルに譲渡され、さらにコーレルからDAZ Productionsへと単独で譲渡されました。

関連項目

• - フラクタル地形
• - Terragen
• - Vue
• - 3次元コンピュータグラフィックス

外部リンク

• - 公式サイト
• - Bryce 3D and 3DS Max Tutorials (en)

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