CL-154級軽巡洋艦

CL-154級軽巡洋艦：幻に終わった高速防空巡洋艦

CL-154級軽巡洋艦は、第二次世界大戦中にアメリカ海軍が計画した軽巡洋艦の艦級です。6隻の建造が計画されましたが、終戦を目前にしてキャンセルされ、実現を見ることはありませんでした。

開発の背景

第二次世界大戦中、航空機の脅威が増大するにつれて、防空能力に特化した防空巡洋艦の重要性が高まりました。アメリカ海軍では、ウースター級軽巡洋艦のような大型の艦艇を建造する一方で、アトランタ級軽巡洋艦の後継として、新型の5インチ54口径両用砲を搭載する本級が計画されました。

当初は、既存のオークランド級軽巡洋艦の船体に5インチ54口径砲を試験的に搭載する案が検討されましたが、一度取り下げられました。1944年春、ジュノー級軽巡洋艦の後続艦として、再び防空艦の検討が再開されました。しかし、ジュノー級の設計では重量軽減の限界に達しており、アレン・M・サムナー級駆逐艦やギアリング級駆逐艦が同等の火力を持つことが判明したため、ジュノー級の追加建造は見送られました。

一方で、キング海軍作戦部長は、レーダーや機銃の増加による艦艇の速度低下に不満を抱き、空母機動部隊の護衛に必要な35ノットの高速力を持つ艦艇を強く要求しました。海軍造船局は、ジュノー級を高速化した案と、新規設計の船体に5インチ54口径砲を搭載する案を提示し、後者が採用されました。

設計と特徴

CL-154級は、アトランタ級の技術的系譜を受け継ぎつつ、より強力な防空能力と高速力を目指した設計となっていました。主砲には、新開発のMk16 5インチ54口径連装両用砲を6基搭載し、前後3基ずつ背負い式に配置することで、全方位への射撃能力を確保する予定でした。

船体は、基準排水量7,400トン以下に抑え、35ノットの高速力を目指しましたが、計画速力は34.8ノットに留まりました。装甲は、アトランタ級に準じたものとする予定でしたが、重量軽減のため、各部の防御厚が削られ、司令塔の装甲は撤廃されました。魚雷兵装は、当初は検討されたものの、速力確保のため断念されました。

当初の設計では、2軸推進で100,000馬力を達成して35ノットの速力を目指していましたが、再設計時には、さらなる大型化が検討され、110,000馬力まで出力が増強されました。それでも、35ノットの目標を達成するには、2軸推進では限界があるという結論に至りました。

主砲とその他の武装

主砲のMk16 5インチ54口径連装両用砲は、当時アメリカ海軍が開発していた新型砲であり、従来のMk 12 5インチ砲の後継となる予定でした。しかし、詳細設計は進んでおらず、性能や信頼性には不明な点が多く、実際に完成した場合にはトラブルを抱えた可能性がありました。

機銃は、ボフォース40mm機関砲とエリコン20mm機関砲の搭載が予定されていましたが、戦後に竣工した場合には、76mm50口径砲が搭載された可能性があります。魚雷発射管は、当初は搭載が検討されていましたが、高速力確保のために最終的には断念されました。

フォレスタル長官の指示による再設計時には、40mm機関砲の代わりに新型の76mm70口径砲連装7基の搭載が検討されましたが、同砲は大型で問題が多く、実現には至りませんでした。

キャンセルと評価

CL-154級は、1945年3月にルーズベルト大統領によって建造提案が却下され、6隻全てが未起工のままキャンセルされました。そのため、実際に運用されることはなく、直接的な評価は困難です。

しかし、アトランタ級やジュノー級といった既存の防空巡洋艦が、1950年までに退役したことや、より大型のウースター級も、ミサイル時代には活躍の場を失ったことを考慮すると、本級が建造されたとしても、同様に早期に退役を余儀なくされた可能性が高いと考えられます。

仮にミサイル時代に対応するとしても、本級には大規模な改装を行う余地がなく、ターター・システム程度の搭載に留まる可能性が高く、その場合でも、ミッチャー級駆逐艦やフォレスト・シャーマン級駆逐艦と比較して、費用対効果が低く、結局は退役を免れなかったでしょう。

同型艦

CL-154～CL-159（未成艦）

参考資料

Norman Friedman 著『U.S.CRUISERS』 NAVAL INSTITUTE PRESS、1984年、ISBN 0-87021-718-6

関連項目

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