CTRL

CTRL（Channel Tunnel Rail Link）とは

CTRL（Channel Tunnel Rail Link、チャンネルトンネル鉄道連絡線）は、ドーバー海峡の海底トンネルである英仏海峡トンネルのイギリス側出口からロンドンのセント・パンクラス駅を結ぶ、全長109kmの高速鉄道路線です。この路線は、ユーロスターなどの高速列車が最高速度300km/hで運行できるように設計されています。2006年11月14日には、ロンドン・アンド・コンティネンタル・レイルウェイズ（LCR）によって、CTRLのブランド名が「High Speed 1（HS1）」として発表されました。

建設の背景と計画

1994年の英仏海峡トンネル開通とユーロスターの運行開始に合わせ、フランスはパリから英仏海峡トンネルのフランス側出口までの高速新線（LGV）を整備しました。また、ベルギーも1997年にブリュッセル近郊からフランス国境までの高速新線を開通させ、これらの区間ではユーロスターが300km/hでの運行を実現していました。

しかし、イギリスでは政府主導での鉄道整備が行われていなかったため、高速新線の計画はあったものの、資金面で建設が難航していました。ユーロスターはイギリス国内では在来線を最高速度160km/hで走行せざるを得ず、他の低速列車と線路を共有していたため、遅延の原因にもなっていました。この状況を打開するため、イギリス議会は1996年にChannel Tunnel Rail Link Actを成立させ、31億英ポンドの建設資金拠出を決定し、CTRLの建設が始まりました。

実際の建設は、ロンドン・アンド・コンティネンタル・レイルウェイズ（LCR）という第三セクター会社によって二段階に分けて行われました。

建設と路線概要

第一期工事では、英仏海峡トンネルからサウスフリートまでの70kmと、サウスフリートからフォークハムジャンクションまでの4kmが建設されました。フォークハムジャンクションでは、ウォータールー駅に向かう在来線と接続します。この4kmの区間は「ウォータールーコネクション」と呼ばれ、Gravesend Railwayの廃線跡が利用されました。第一期工事区間では、イギリスの鉄道最速記録である334.7km/hを達成しています。

第二期工事では、サウスフリートからロンドンのセント・パンクラス駅までの39kmが建設されました。線路規格はフランスのLGVに準じており、軌間は1435mm、架空線式、電化方式は交流25000V/50Hz、信号システムはTVM、軌道はバラスト軌道となっています。新線上には、ロンドン側からストラトフォード、エブスフリート、アシュフォードの3駅が設けられました。

2009年に開業したストラトフォード駅は、2012年のロンドンオリンピックのメインスタジアム最寄り駅となりました。

建設費は、第一期分が19億英ポンド、第二期分が33億英ポンドで、合計52億ポンドが見込まれました。全線の約1/4にあたる26kmはトンネル区間であり、セント・パンクラス駅とストラトフォード駅の間にはロンドン西トンネル（7543m）、ストラトフォード駅とエブスフリート駅の間にはロンドン東トンネル（9924m）、そしてテムズ川をくぐるテムズトンネル（2513m）があります。

第一期区間の工事は1998年10月に始まり2003年9月に竣工し、第二期区間の工事は2001年7月に始まり2007年11月14日に開通しました。この開通日は、1994年にユーロスターが英仏海峡トンネルを通って運行を開始したのと同じ日です。

運行計画と時間短縮効果

CTRL完成後、以下の列車の運行が計画されました。

ユーロスター（ロンドン - パリ、ロンドン - ブリュッセル：客車18両で運行、最高速度300km/h）
ケントエクスプレス（オリンピックジャベリン）（ロンドン - ラムスゲイトなど：電車6両（多客時6両+6両=12両）で運転、最高速度225 km/h）

また、ユーロスター（パリ - バーミンガム、ロンドン - アムステルダムなど：客車14両で運行、最高速度300km/h）の運行も計画されていましたが、航空機との競争や採算性の問題から、ロンドン以北やブリュッセル以遠への延伸は中止となりました。しかし、イングランド北部への高速新線（HS2）建設の計画は存在します。

CTRLの完成により、各都市間の所要時間は大幅に短縮されました。

ロンドン - パリ：2時間50分（一期工事）→ 2時間35分（二期工事）→ 2時間15分
ロンドン - ブリュッセル：2時間35分（一期工事）→ 2時間20分（二期工事）→ 1時間51分
ロンドン - ラムスゲイト：2時間（二期工事）→ 1時間15分
ロンドン - アシュフォード：1時間7分（二期工事）→ 34分

CTRLは、ロンドンとヨーロッパ大陸間の高速移動を可能にし、国際的な交流と経済活動の活性化に貢献しています。

関連項目

ロンドン・アンド・コンティネンタル・レイルウェイズ
ユーロスター
英仏海峡トンネル
イギリス鉄道395形電車

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