EA-37B (航空機)

EA-37Bは、ガルフストリーム G550を母機とする電子戦機です。2023年11月には、EC-130Hが長年使用してきた「コンパスコール」というコールサインを正式に引き継ぎ、機体の名称もEC-37BからEA-37Bへと変更されました。

設計

外観は、同じくG550をベースとする早期警戒機G550 CAEWと類似しており、ミッションシステム（PME）を早期警戒レーダーから電子攻撃装備へと換装した機体と見なすことができます。機体形状が共通であるため、風洞試験などを改めて行う必要はありませんが、重量配分が変化するため、型式承認を得るためには追加の試験が求められます。

装備

EA-37Bは、アメリカ国防総省が保有する唯一のフルスペクトラム対応スタンドオフ・ジャマーとして、敵の防空網制圧において極めて重要な役割を担います。

初期のEA-37B（2017年度から2020年度に発注された1-5号機）は、EC-130Hの装備を基に、機体に合わせて再配置したPMEを搭載しており、「コンパスコール・リホスト」と呼ばれます。コンパスコール・システムの形態管理においては、EC-130Hと同様にベースライン3が適用され、レイセオン製のALQ-173(V)ブリンク（点滅）ジャマー、ALQ-179ハイバンドRFジャマー、ALQ-198ローバンドRFジャマーなどが搭載されています。

一方、2023年度に発注された6号機には、新開発のベースライン4と呼ばれるPMEが搭載され、1-5号機にも遡って適用される予定です。これはBAEシステムズが開発したもので、SABER（Small Adaptive Bank of Electronic Resources: 電子リソース小型適応バンク）技術を導入し、オープンアーキテクチャ化されたソフトウェア無線を中核としています。これにより、新たな脅威に対してもハードウェアを交換することなく、ソフトウェアの更新だけで対応できる柔軟なシステムとなっています。

諸元・性能

出典: Air Combat Command 2023

諸元

乗員: 13名（フライト・クルー4名＋ミッションクルー9名）
全長: 29.4 m
全高: 7.9 m
翼幅: 28.5 m
空虚重量: 21,900 kg
最大離陸重量: 41,000 kg
動力: ロールス・ロイス BR700 C4-11 ターボファン × 2

性能

最大速度: 1,003 km/h (マッハ0.82)
航続距離: 8,170 km
実用上昇限度: 14,000 m

運用史

アメリカ空軍は当初10機のEA-37Bを購入する予定でしたが、2023年度に6機への削減が決定されました。2024年8月23日には、3号機がデビスモンサン空軍基地に到着し、航空戦闘軍団（ACC）に引き渡され、第55航空団の第55電子戦闘航空群 (55ECG) に配備されました。2026年度に初期作戦能力（IOC）を獲得する予定です。

また、イタリア空軍もG550 CAEWを既に導入していることから、EA-37Bの導入を計画しています。2024年10月7日には、アメリカ国務省が対外有償軍事援助（FMS）を通じての売却を承認しました。

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