FreeCAD:オープンソースの汎用3D CADモデラー
FreeCADは、LGPL
ライセンスで提供されるオープンソースの汎用3D CADモデラーです。主に機械
工学やプロダクトデザインでの利用を想定していますが、その適用範囲は広く、建築やその他の専門分野など、
工学全般にわたって利用できます。
概要
FreeCADは、
CATIA、Creo、
Autodesk Inventor、
SolidWorks、
Solid Edgeといった商用CAD
ソフトウェアと同様のツールを備えており、MCAD(機械系CAD)、PLM(製品ライフサイクル管理)、CAx(コンピュータ支援エンジニアリング)といった分野で活用できます。
特徴的なのは、コアシステムを変更せずに機能を追加できるモジュラー
ソフトウェアアーキテクチャを採用している点です。これにより、ユーザーは必要に応じて機能を拡張したり、カスタマイズしたりできます。また、フィーチャーベースのパラメトリックモデラー(
ソリッドモデリング)として、正確で柔軟な3Dモデル作成が可能です。
Blenderのような3DCG
ソフトウェアのようなCGアニメーションや、
Maya、
3ds Max、Cinema 4Dのようなサブディビジョンサーフェスによる有機的な形状のモデリングには対応していませんが、高い拡張性により、将来的にはさらに広い分野で利用できるようになる可能性を秘めています。
FreeCADの開発は、科学技術計算分野のオープンソース
ライブラリを利用して進められています。主要な
ライブラリとして、強力なCADカーネルであるOpen Cascadeテクノロジー、Open InventorのクローンであるCoin3D、
Qt GUIフレームワーク、スクリプト
言語の
Pythonなどが挙げられます。また、FreeCAD自体を他のプログラムから
ライブラリとして利用することも可能です。
機能拡張
機能拡張は、SWIGと
Pythonを応用したモジュラー
ソフトウェアアーキテクチャに基づいており、
Pythonで記述できます。例えば、建設・土木(AEC)セクターへの応用として、BIM機能をArch
モジュールに加える動きがあり、IFCファイルからのインポートも部分的にサポートされています。
機能
FreeCADでは、各機能はワークベンチと呼ばれるグループに分類されています。以下に代表的なワークベンチを紹介します。
パートデザイン・ワークベンチ
2次元スケッチ平面に円弧や直線を描画し、寸法拘束や幾何拘束を適用することで複雑なスケッチを作成できます。作成したスケッチを押し出すことで
立体形状を作成したり、角の丸めや面取りなどの加工を施すことも可能です。
パート・ワークベンチ
プリミティブな形状を作成し、複数の
プリミティブに対してブーリアン演算(和、差、積)を行うことで
立体形状を作成できます。また、スケッチャーワークベンチで作成したスケッチを基に、スイープやロフトなどの操作で複雑な形状を生成することも可能です。
POV-RayやLuxRender用の入力ファイルをエクスポートできます。これらのレンダリングソフトを利用することで、
レイトレーシングに基づいた高品質な3D画像を生成できます。
FEMワークベンチ
作成した
立体形状に対して、
有限要素法を用いた応力解析が可能です。解析に必要なメッシュ分割や結果の可視化も行えます。
メッシュデザイン・ワークベンチ
作成した
立体形状からサーフェスメッシュを作成し、粗密を調整できます。作成したメッシュはSTL、PLYなどの形式でエクスポートしたり、これらの形式のファイルをインポートすることも可能です。
建築ワークベンチ
3次元の建築構造物モデリングに特化したワークベンチで、壁、屋根、窓、設備、構造材などのオブジェクトがあらかじめ用意されています。
ドラフト・ワークベンチ
2次元の製図を行うためのワークベンチです。
ドローイング・ワークベンチ
2次元の投影図を作成するワークベンチですが、バージョン0.17以降はテックドロー・ワークベンチに機能が統合され、非推奨となっています。
テックドロー・ワークベンチ
他のワークベンチで作成した3D形状を使用して、製作図のような
2次元の投影図を作成できます。寸法や説明、ハッチングなどを追加して図面を仕上げることが可能です。
その他のワークベンチ
イメージ・ワークベンチ
インスペクション・ワークベンチ
OpenSCADワークベンチ
パス・ワークベンチ:Gコード作成、CNC加工パス作成
プロット・ワークベンチ
点群ワークベンチ
リバースエンジニアリング・ワークベンチ
ロボット・ワークベンチ:産業用
ロボットアームの動作計画
船舶ワークベンチ
スケッチャー・ワークベンチ:
2次元スケッチ作成
スプレッドシート・ワークベンチ:表計算、部品表作成
サーフェス・ワークベンチ
一般機能
ファイルのインポート・エクスポート
HTML5'>[IGES]]、STEP、
DXF、
DWG、IFCなどのCAD形式、STL、Obj、PLYなどのメッシュ形式、COLLADA、
VRML、[[WebGL]などの表示用データ形式、その他、OpenSCAD、POV-Ray、CalculiXなどのアプリケーション向けのファイル形式をサポートしています。
マクロ機能
一連のGUI操作を記録し、スクリプト化する機能です。スクリプト
言語には
Pythonが採用されています。頻繁に利用する機能をスクリプトとして記述し、実行することも可能です。
スクリーンショット
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関連項目
参考文献
脚注
外部リンク
公式ウェブサイト(英語)
日本語版ダウンロードサイト(OSDN)
FreeCADのオンラインヘルプ(日本語)
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