Industry Foundation Classes

Industry Foundation Classes (IFC) について



Industry Foundation Classes (IFC) は、建設および施設管理業界におけるデータ共有を目的とした、中立かつオープンなCADデータモデルの仕様です。国際標準規格 ISO 16739 として定められており、ベンダーに依存しないデータ交換を可能にします。

IFC の特徴



  • - 中立性とオープン性: 特定のベンダーやグループによって管理されておらず、誰でも自由に仕様を入手できます。
  • - データモデル: 実体関連モデル（Entity-relationship model）に基づいており、概念（エンティティ）を関係性（リレーションシップ）で結びつけてデータ構造を表現します。
  • - ファイル形式:
- `.ifc`：ISO 10303-23 に基づく STEP Physical File (SPF) 形式で記述されます。
- `.ifcXML`：XML 形式で記述されますが、ファイルサイズが大きくなる傾向があります。
- `ifcOWL`：RDF/OWL 形式で記述され、`.ttl` (Turtle) や `.rdf` (RDF/XML) の拡張子を持ちます。こちらも`.ifc`形式に比べてファイルサイズが大きくなります。
- 、HDF、SQLiteも将来的な開発候補として検討されています。
  • - ライセンス: CC BY-ND 4.0 ライセンスで提供されており、商用利用が許可されています。

IFC のデータ構造



IFC は、EXPRESS-G というグラフィカル記法で記述されるデータモデリング言語を使用します。例えば、以下のようにエンティティをリレーションシップで関連付けます。

1. IfcProject (プロジェクト) を IfcSite (用地) に IfcRelAggregates というリレーションシップで関連付けます。
2. IfcSite を IfcBuilding (建屋) に IfcRelAggregates で関連付けます。
3. IfcBuilding を IfcBuildingStorey (階層) に IfcRelAggregates で関連付けます。
4. IfcBuildingStorey を IfcWall (壁) に IfcRelContainedInSpatialStructure というリレーションシップで関連付けます。

これにより、プロジェクト内の構造を階層的に表現できます。

IFC の歴史



IFC は、1995年に International Alliance for Interoperability によって、AEC (architecture engineering and construction) 業界のソフトウェア間の相互運用性を支援するために開発されました。

2005年以降は、buildingSMART International によって開発・維持されています。buildingSMART International は、世界中の支部を通じて IFC の導入を促進しています。

IFC の導入状況



ソフトウェアプラットフォーム間の相互運用を容易にすることが重視されているため、デンマーク政府は公共支援建設事業において IFC フォーマットの使用を義務付けています。

IFC のバージョン履歴



IFC のバージョンは、以下の通りです。

  • - IFC 5 (モジュール化、言語非依存化等が検討中)
  • - IFC 4.4 (開発中、トンネルの追加)
  • - IFC 4.3.2 (ISO 16739:2024 準拠, 2024年4月)
  • - IFC 4.3.2 (IFC 4.3 ADD2) (2023年9月)
  • - IFC 4.2 (2019年4月) Withdrawn (撤退)
  • - IFC 4.1 (2018年6月) Withdrawn (撤退)
  • - IFC4 ADD2 TC1 (ISO 16739-1:2018 準拠, 2018年)
  • - IFC 4.0.2.1 (IFC4 ADD2 TC1) (2017年10月)
  • - IFC 4.0.2 (IFC4 Addendum 2) (2016年7月15日)
  • - IFC 4.0.1 (IFC 4 Addendum 1) (2015年7月)
  • - IFC 4 (ISO 16739:2013 準拠, 2013年3月21日)
  • - IFC 4 (2013年3月12日)
  • - IFC 2.3.0.1 (IFC2x3 TC1) (2007年7月)
  • - IFC 2.3 (IFC2x3) (2005年12月)
  • - IFC 2x (ISO/PAS 16739:2005 準拠, 2005年10月)
  • - IFC 2.2.1 (IFC2x2 Addendum 1) (2004年7月)
  • - IFC 2.2 (IFC 2x2) (2003年5月)
  • - IFC 2.1.1 (IFC 2x Addendum 1) (2001年10月)
  • - IFC 2.1 (IFC2x) (2000年10月)
  • - IFC 2.0 (1999年10月)
  • - IFC 1.5.1 (1997年11月)
  • - IFC 1.5 (1996年6月)

2016年9月の buildingSMART 国際会議では、IfcBridge (IfcProductExtension), IfcRoadDomain, IfcRailDomain の実装計画が示され、IFC 4.3 で実現しました。

IFC を支援する組織



  • - buildingSMART Japan: 日本国内での IFC の普及を支援しています。
  • - buildingSMART International: 国際的な IFC の開発・維持を担っています。

国内の支援企業


  • - NYKシステムズ: BIMソフト Rebro
  • - キャパ CAPA (BIM/CIMコンサルティング)
  • - 応用地質
  • - 建設システム (KENTEM): BIMソフト SiTE-NEXUS
  • - 新菱冷熱工業

海外の支援企業



関連項目



  • - ビルディングインフォメーションモデリング (BIM)
  • - IAI日本

外部リンク




参考文献




IFC は、建設業界のデジタル化を推進する上で不可欠な要素です。相互運用性を高め、より効率的なワークフローを実現するために、今後もその進化と普及が期待されます。

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