J・J・ディロン

J・J・ディロン、本名ジェームズ・モリソンは、アメリカ合衆国ニュージャージー州トレントン出身のプロレスラー、マネージャー、ブッカーとして知られています。日本では「極悪仕掛人」の異名を持つ彼は、その卓越したヒールマネージャーとしての才能と、経営手腕の両方でプロレス界に多大な影響を与えました。

1962年、地元ニュージャージーでプロレスラーデビュー。金髪で若きヒールとして活躍し、その後はオハイオ州などを転戦。1970年代にはカナダ東部やアメリカ南部を拠点に活躍しました。テキサス州アマリロではNWAウエスタン・ステイツ・ヘビー級王座を獲得、テリー・ファンクやディック・マードックらと激闘を繰り広げました。プレイングマネージャーとして活躍した彼は、カンフー・リーともタッグを組みました。ダラス地区ではモンゴリアン・ストンパーやムーンドッグ・ロニー・メインらのマネージャーも務めました。

選手としては1979年にアマリロ地区でNWAインターナショナル・ヘビー級王座を獲得。1981年にはバズ・タイラーとのタッグでNWAセントラル・ステーツ・タッグ王座を獲得するなど、リング上での活躍も目覚ましかった。メンフィスではジェリー・ローラーやビル・ダンディーと抗争を展開し、新人のカマラをマネージメントした経験もあります。

フロリダでは本格的にプレイング・マネージャーとして活躍、ドリー・ファンク・ジュニア、ビッグ・ジョン・スタッド、ブルーザー・ブロディ、ケンドー・ナガサキといったそうそうたるヒールレスラーたちを率いて、エースのダスティ・ローデスと激しく抗争しました。自身もNWAフロリダ・ヘビー級王座を獲得しています。

1984年、ローデスと共にミッドアトランティック地区のジム・クロケット・プロモーションズに移籍。選手を引退し、マネージャーとブッカーに専念しました。リック・フレアーらが結成したフォー・ホースメンのブレーンとして活躍し、その戦略は団体を成功に導く大きな力となりました。テッド・ターナーによるクロケット・プロ買収後もWCWに留まらず、ビンス・マクマホンにヘッドハンティングされて1989年にWWFへ移籍。タイタン・スポーツ社の副社長に就任し、その手腕を発揮しました。

1996年にWWFを離れWCWに復帰。「コミッショナー」として現場復帰を果たし、新生フォー・ホースメンと共闘してnWoやエリック・ビショフらとの抗争を指揮しました。WCW崩壊後はTNAでチーフ・ファイナンシャル・オフィサーを務めましたが、2003年にフルタイムのプロレスビジネスから引退。以降も各地のインディー団体にゲスト出演、2006年にはROHのPPVに登場し、2008年にはフレアーの引退セレモニーに出席するなど、プロレス界との繋がりを維持し続けています。

日本ではジム・デュランの名で知られており、全日本プロレスに7回来日。中堅ヒールとして活躍し、1977年にはチャンピオン・カーニバルにも出場。ジャイアント馬場との試合はリングアウトで引き分けに終わりました。アブドーラ・ザ・ブッチャーとザ・シークによる悪役タッグチームを結成させ、世界オープンタッグ選手権にブッキングするなど、その悪の仕掛人としての才能を遺憾なく発揮しました。1983年にはザ・グレート・カブキの凱旋帰国第1戦の相手を務めました。

2012年にはフォー・ホースメンの一員として、2014年には単独でNWA殿堂入りを果たすなど、その功績は高く評価されています。彼のプロレス界への貢献は、数々のタイトル獲得や選手育成にとどまらず、マネージャー、ブッカー、エグゼクティブとして活躍した経験、そして「極悪仕掛人」として築き上げた強烈なキャラクターによって、色濃く記憶されています。 彼の残した功績は、多くのプロレスファンに長く語り継がれることでしょう。

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