K21歩兵戦闘車

K21歩兵戦闘車：韓国陸軍の主力歩兵戦闘車

K21歩兵戦闘車は、韓国陸軍が運用する最新鋭の歩兵戦闘車（IFV）です。開発当初はK300またはXK21 KNIFV（Korea Next-generation Infantry Fighting Vehicle：韓国次世代歩兵戦闘車）と呼ばれていました。この車両は、既存の装甲兵員輸送車を代替し、北朝鮮軍のBMP-1などの歩兵戦闘車に対抗するために開発されました。

開発の背景

1980年代、韓国陸軍はM113[[装甲兵員輸送車]]に加えて、AIFVをベースにしたK200装甲兵員輸送車を導入しました。しかし、北朝鮮軍がBMP-1を配備している情報を受け、K200では対抗できないと判断。1999年に国防科学研究所（ADD）が新型歩兵戦闘車の開発を開始しました。L-3テクノロジーズは2017年にK21用の800馬力トランスミッションキットを供給する契約を受注し、1両あたりの価格は約30億ウォンとされています。韓国陸軍は466両の配備を計画しています。

設計の特徴

K21は、アルミニウム合金製のシャーシにグラスファイバーを組み合わせることで軽量化を実現しています。高出力ディーゼルターボエンジンを搭載し、最高速度は時速70kmに達し、K2戦車との随伴が可能です。車体前面は複合装甲で30mm APDS弾頭に耐え、側面装甲は14.5mm徹甲弾に耐えるほか、BMP-3の30mm徹甲弾にも耐えられる性能を有します。また、燃料タンクには耐火災対策、車両内部には自動消火装置、NBC防護システムも搭載されています。

さらに、車体両側には大型のエアバッグが搭載されており、水上を時速7kmで浮航することができます。これは渡河作戦能力を向上させるための重要な機能です。

武装

砲塔には2名の乗員が搭乗し、武装操作を行います。操縦手は車体下部に位置します。主砲の40mm機関砲は歩兵戦闘車としては強力で、低空飛行するヘリコプターへの攻撃も可能です。APFSDS弾頭も使用でき、射速は1分間に300発、初速は1,005m/sです。40mm機関砲弾は車体下部に収納されています。APFSDS弾頭は距離1,000mで200mmの装甲を貫通する能力を持ちます。

砲塔左側面には、国産のAT-1K対戦車ミサイル連装発射器が装備されており、これはイスラエル製のスパイク対戦車ミサイルを元に開発された光学有線誘導型ミサイルです。このミサイルは開発完了後に装備される予定です。

センサーと電子機器

K21は、砲手サイトと独立した車長サイトを持ち、ハンターキラー能力を発揮します。砲手が目標を見失っても、車長が目標を追跡し、射撃を指示できます。照準器は赤外線光学式で、内蔵の1.54umレーザーレンジファインダーは6,000mまでの追跡と3,000mまでの識別が可能です。センサーにはIFFも内蔵されています。

ベトロニクスにはFCS（火器管制装置）、GPS（全地球測位システム）、INS（慣性航法装置）、自動故障診断装置が含まれており、C4Iデータリンク装置により指揮所や味方車両とのリアルタイム通信が可能です。

派生型

K21-105軽戦車: K21をベースに開発された軽戦車で、105mm砲と7.62mm機関銃を搭載。砲安定化装置や対戦車ミサイルをオプションで装備可能です。
AS21 レッドバック: オーストラリア陸軍向けの輸出仕様で、装甲防御力やステルス性能を向上させたT2000砲塔を搭載しています。12.7mmリモート・ウェポン・システムや対戦車ミサイルも装備可能です。オーストラリア軍の「ランド400 フェーズ３」事業で最終候補に選ばれ、2023年に供給契約が締結されました。

運用状況

K21は、大韓民国で300両以上が実戦配備されており、オーストラリアでもAS21として129両の導入が予定されています。

不具合と改善

過去には、渡河演習中の浸水事故や、センサーの故障、部品の偽造などが問題となりました。これらの問題を受け、韓国軍は設計上の欠陥を認め、改善事業を実施。浮力不足の解消、波切板の強化、排水ポンプの増設など、抜本的な改修が行われ、信頼性が大きく向上しました。

登場作品

映画『FLU 運命の36時間』では、韓国軍の車両として登場しました。ただし、一部のシーンでM2ブラッドレー[[歩兵戦闘車]]が代用されています。

まとめ

K21歩兵戦闘車は、韓国陸軍の近代化を象徴する重要な装備です。高い機動性、強力な火力、そして水上航行能力を備え、過去の不具合を克服して信頼性を高め、現在では主力歩兵戦闘車として活躍しています。

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