PJ ハーヴェイ

ポリー・ジャン・ハーヴェイ：音楽と芸術の融合

ポリー・ジャン・ハーヴェイ（PJ Harvey）は、1969年10月9日生まれのイギリスのミュージシャン、シンガーソングライターです。彼女の音楽は、ブルース、ロック、アート・ロックなど、多様なジャンルを融合させた独特の世界観で知られています。ローリングストーン誌が選ぶ「歴史上最も偉大な100人のシンガー」では第57位にランクインするなど、その歌唱力と表現力は高く評価されています。

生い立ちと音楽との出会い

ドーセットのバードポートで、石工の父のもと農場で育ちました。両親の影響で、幼い頃からジョン・リー・フッカー、ハウリン・ウルフ、ロバート・ジョンソン、ジミ・ヘンドリックスといったブルースやジャズ、そしてアート・ロックに親しんで育ちました。8年間サックスを習い、17歳で作曲を始めたものの、当初は音楽家ではなく、セントラル・セント・マーチンズ・カレッジ・オブ・アート・アンド・デザインで彫刻を学んでいました。

デビューと初期の活動

1991年に自主レーベルからデビューシングルをリリース。その才能はすぐに各方面から注目を集め、ローリングストーン誌のベストソングライターに選出されるなど、高い評価を受けました。カート・コバーンがPJハーヴェイのアルバム『ドライ』を「好きなアルバムTOP20」に選んだことも、彼女の名を広めるきっかけとなりました。1992年にはNME誌の表紙をトップレスで飾り、話題を呼びました。1993年にはセカンド・アルバム『リッド・オブ・ミー』を発表。スティーヴ・アルビニのプロデュースにより、生々しいサウンドが展開されました。初期は「PJハーヴェイ」名義のバンドで活動していましたが、1995年発表の3作目『トゥー・ブリング・ユー・マイ・ラヴ』以降は、ソロアーティストとして活動しています。

2000年代以降の活動

2001年には、『ストーリーズ・フロム・ザ・シティ、ストーリーズ・フロム・ザ・シー』でマーキュリー賞を受賞。2011年には、第一次世界大戦期のイギリスを題材にした8作目『レット・イングランド・シェイク』を発表。このアルバムは、批評家から絶賛されただけでなく、商業的にも成功を収め、自身2度目となるマーキュリー賞を受賞しました。これは、同一アーティストによる2度目の受賞という史上初の快挙でした。

コラボレーションと影響

PJハーヴェイは、ジョシュ・オム、ニック・ケイヴ、ボブ・ディラン、スパークルホース、マリアンヌ・フェイスフルなど、数多くのアーティストとコラボレーションを行っています。彼女自身が影響を受けたアーティストとしては、ハウリン・ウルフ、ジミ・ヘンドリックス、キャプテン・ビーフハート、ローリング・ストーンズ、ボブ・ディラン、ピクシーズ、ニール・ヤング、パティ・スミス、スージー・スー、エリック・サティ、サミュエル・バーバーなどを挙げています。

変化し続ける音楽性

長年にわたり、自身の音楽性を常に変化させてきました。2011年のインタビューでは、過去の曲をライブで演奏しなくなった理由について、「歌いながら信じられる曲しか今は歌わない」と語っており、年齢を重ねるごとに変化する自身の内面を反映した音楽を追求していることが伺えます。

ディスコグラフィー

Dry (1992)
Rid of Me (1993)
To Bring You My Love (1995)
Is This Desire? (1998)
Stories from the City, Stories from the Sea (2000)
Uh Huh Her (2004)
White Chalk (2007)
Let England Shake (2011)
The Hope Six Demolition Project (2016)
I Inside the Old Year Dying (2023)

PJハーヴェイは、常に進化し続ける音楽家であり、その創造性は衰えることを知りません。今後の活動にも、ますます期待が高まります。

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