PSYENCE
hideのソロ2枚目のオリジナルアルバム『PSYENCE』は、1996年9月2日にリリースされました。本作は、「PSYCHO（精神病・サイケデリック）」と「SCIENCE（科学）」を組み合わせたhideによる造語をタイトルに冠しています。
アルバム制作は、1995年1月21日からプリプロダクションが開始されました。hideは、前作『HIDE YOUR FACE』でプリプロ段階のギターテイクを全て録り直した反省から、本作ではプリプロ段階のテイクを最終版に反映させることを目指しました。そのため、ギター関連の最新機材やジャンク品、ヴィンテージ物のコンパクトエフェクターを使い、全ての音色に対して実験を重ね、デモテープの完成度を徹底的に高めました。
hideは、X JAPANやzilchの活動と並行して本作を制作していたため、レコーディングに充てられる時間は限られていました。彼は、ギター、ボーカル、ベースを担当するだけでなく、プロデューサーとして客観的にテイクを判断し、宣伝戦略を考える必要もありました。そのため、ギタリストとしての作業時間は短く、逆に音源の編集に最も時間を費やしました。編集作業に集中するために、I.N.Aにはボーカルディレクションを任せず、Pro Toolsによるトラック編集を一任しました。
スタジオでのレコーディングでは、生ドラムを多めに使用し、hideがベースを弾くことで、ギターの演奏がしやすくなり、OKテイクも決めやすくなったそうです。マイクのセッティングやエフェクターの設定には、同時期にレコーディングしていたzilchの手法が流用されました。
作詞に関しては、「後で後悔しようが、その時の気分をCDに残すべき」という考えのもと、積極的に挑みました。本作のために「Junk Story」と「In Motion」が制作されましたが、前作『HIDE YOUR FACE』の雰囲気を引きずっていたため、収録は見送られました。
アルバム全体の明確なコンセプトは作らず、タイトルや曲が作られた時期が離れていることを逆手に取り、「どう編集してフルアルバムとして機能させるか」に重点を置きました。hideは、本作を「1つ1つの曲が独立しているオムニバスアルバム」と捉え、「トータル感を持たせるために、曲間を短くし、ジェットコースターのように楽しめる作品」を目指しました。マスタリングでは、曲間を極限まで短くするよう指示し、クラブDJが即興で選曲するような感覚でセットリストが構成されました。
その結果、曲同士が殺し合うような構成、前の曲の雰囲気を吹き飛ばすような展開、盛り上がりをそのまま持続させる構成が意図的に作られました。制作後には、「超大作だけど軽く聴ける、男の子にとってすごいと思えるアルバム」「hide自身が小さい頃に聴きたかったアルバム」「シングルのB面のような良曲を集めたオムニバスアルバム」というテーマが付け加えられました。
ライナーノーツのアートワークは、LEMONed所属のバンドtrees of Lifeに素材が渡され、hideは質感の仕上がりを指示する以外は、trees of Lifeに一任されました。
1. PSYENCE：ライブのオープニングを意識して制作。ジャズの色気を出したロック歌謡曲を目指し、フェイクを極めることをテーマに、Lo-Fiな雰囲気で録音されました。
2. ERASE：hideの瞬発力とアシッド感を優先し、3日間で制作。アルバムの中で最も早く完成した楽曲で、トーキングモジュレーターを使用した音が特徴的です。
3. 限界破裂：コンピレーションアルバムに先行収録されましたが、hideが特に気に入っている曲で、手書き歌詞には「面会謝絶」というタイトルが書かれていました。
4. DAMAGE：hideが理想とする曲で、ディストーションをかけないギターサウンドと、喉に負担をかけた歌い方が特徴。ツインドラムによるリズムが印象的です。
5. LEMONed I Scream (CHOCO-CHIP version)：元々は別の企画のために制作されましたが、ボーカルを録り直し、アルバムに収録されました。
6. FLAME：「MISERY」の姉妹曲で、歌詞のイメージは「掃き溜めに鶴」。柳田英輝のドラムが印象的です。
7. OEDO COWBOYS (In Low-Fi Mono!)：「8時だョ!全員集合」のBGMをイメージした楽曲で、映像ソフトで使用されていたものが、本作で完全版として収録されました。
8. BACTERIA：hideが気に入っている曲で、おっかない曲調にポップなコーラスが特徴。全ての音を歪ませたディストーションサウンドが多用されています。
9. Cafe Le Psyence：エンジニアのエリック・ウェストフォールによる即興ピアノ演奏で、「PSYENCE」のBメロをモチーフにしています。
10. LASSIE (demo master version)：自宅で制作したデモテープをそのまま収録。スピード感とアシッド感が特徴で、犬の鳴き声はhideによるものです。
11. POSE：zilchやX JAPANのソロコーナー用に制作された楽曲を、hideのオリジナルとしてアレンジ。ノイズサウンドとサンプリングサウンドを駆使したプログラミングがされています。
12. MISERY (remix version)：シングル盤からのリミックスで、ボーカルの音量を変更しています。
13. ATOMIC M・O・M：ロールプレイングゲームのラスボス戦をイメージした曲で、「PSYENCE」のテーマを古風に表現しています。
hide - ボーカル、ギター、ベース
I.N.A - プログラミング、レコーディング・エンジニア
金内孝史 - ベース (#3, #10)
宮脇“JOE”知史 (ZIGGY) - ドラムス
柳田英輝 (ZEPPET STORE) - ドラムス (#7, #11)
エリック・ウェストフォール - ピアノ、レコーディング・エンジニア
リッチ・ブリーン - レコーディング・エンジニア
Doug Boehm - アシスタント・エンジニア
『PSYENCE』は、hideの音楽的な実験精神と多才な才能が発揮された、聴きごたえのある作品です。
制作の背景
アルバム制作は、1995年1月21日からプリプロダクションが開始されました。hideは、前作『HIDE YOUR FACE』でプリプロ段階のギターテイクを全て録り直した反省から、本作ではプリプロ段階のテイクを最終版に反映させることを目指しました。そのため、ギター関連の最新機材やジャンク品、ヴィンテージ物のコンパクトエフェクターを使い、全ての音色に対して実験を重ね、デモテープの完成度を徹底的に高めました。
hideは、X JAPANやzilchの活動と並行して本作を制作していたため、レコーディングに充てられる時間は限られていました。彼は、ギター、ボーカル、ベースを担当するだけでなく、プロデューサーとして客観的にテイクを判断し、宣伝戦略を考える必要もありました。そのため、ギタリストとしての作業時間は短く、逆に音源の編集に最も時間を費やしました。編集作業に集中するために、I.N.Aにはボーカルディレクションを任せず、Pro Toolsによるトラック編集を一任しました。
スタジオでのレコーディングでは、生ドラムを多めに使用し、hideがベースを弾くことで、ギターの演奏がしやすくなり、OKテイクも決めやすくなったそうです。マイクのセッティングやエフェクターの設定には、同時期にレコーディングしていたzilchの手法が流用されました。
作詞に関しては、「後で後悔しようが、その時の気分をCDに残すべき」という考えのもと、積極的に挑みました。本作のために「Junk Story」と「In Motion」が制作されましたが、前作『HIDE YOUR FACE』の雰囲気を引きずっていたため、収録は見送られました。
音楽性とテーマ
アルバム全体の明確なコンセプトは作らず、タイトルや曲が作られた時期が離れていることを逆手に取り、「どう編集してフルアルバムとして機能させるか」に重点を置きました。hideは、本作を「1つ1つの曲が独立しているオムニバスアルバム」と捉え、「トータル感を持たせるために、曲間を短くし、ジェットコースターのように楽しめる作品」を目指しました。マスタリングでは、曲間を極限まで短くするよう指示し、クラブDJが即興で選曲するような感覚でセットリストが構成されました。
その結果、曲同士が殺し合うような構成、前の曲の雰囲気を吹き飛ばすような展開、盛り上がりをそのまま持続させる構成が意図的に作られました。制作後には、「超大作だけど軽く聴ける、男の子にとってすごいと思えるアルバム」「hide自身が小さい頃に聴きたかったアルバム」「シングルのB面のような良曲を集めたオムニバスアルバム」というテーマが付け加えられました。
アートワーク
ライナーノーツのアートワークは、LEMONed所属のバンドtrees of Lifeに素材が渡され、hideは質感の仕上がりを指示する以外は、trees of Lifeに一任されました。
収録曲と解説
1. PSYENCE：ライブのオープニングを意識して制作。ジャズの色気を出したロック歌謡曲を目指し、フェイクを極めることをテーマに、Lo-Fiな雰囲気で録音されました。
2. ERASE：hideの瞬発力とアシッド感を優先し、3日間で制作。アルバムの中で最も早く完成した楽曲で、トーキングモジュレーターを使用した音が特徴的です。
3. 限界破裂：コンピレーションアルバムに先行収録されましたが、hideが特に気に入っている曲で、手書き歌詞には「面会謝絶」というタイトルが書かれていました。
4. DAMAGE：hideが理想とする曲で、ディストーションをかけないギターサウンドと、喉に負担をかけた歌い方が特徴。ツインドラムによるリズムが印象的です。
5. LEMONed I Scream (CHOCO-CHIP version)：元々は別の企画のために制作されましたが、ボーカルを録り直し、アルバムに収録されました。
6. FLAME：「MISERY」の姉妹曲で、歌詞のイメージは「掃き溜めに鶴」。柳田英輝のドラムが印象的です。
7. OEDO COWBOYS (In Low-Fi Mono!)：「8時だョ!全員集合」のBGMをイメージした楽曲で、映像ソフトで使用されていたものが、本作で完全版として収録されました。
8. BACTERIA：hideが気に入っている曲で、おっかない曲調にポップなコーラスが特徴。全ての音を歪ませたディストーションサウンドが多用されています。
9. Cafe Le Psyence：エンジニアのエリック・ウェストフォールによる即興ピアノ演奏で、「PSYENCE」のBメロをモチーフにしています。
10. LASSIE (demo master version)：自宅で制作したデモテープをそのまま収録。スピード感とアシッド感が特徴で、犬の鳴き声はhideによるものです。
11. POSE：zilchやX JAPANのソロコーナー用に制作された楽曲を、hideのオリジナルとしてアレンジ。ノイズサウンドとサンプリングサウンドを駆使したプログラミングがされています。
12. MISERY (remix version)：シングル盤からのリミックスで、ボーカルの音量を変更しています。
13. ATOMIC M・O・M：ロールプレイングゲームのラスボス戦をイメージした曲で、「PSYENCE」のテーマを古風に表現しています。
参加ミュージシャン
hide - ボーカル、ギター、ベース
I.N.A - プログラミング、レコーディング・エンジニア
金内孝史 - ベース (#3, #10)
宮脇“JOE”知史 (ZIGGY) - ドラムス
柳田英輝 (ZEPPET STORE) - ドラムス (#7, #11)
エリック・ウェストフォール - ピアノ、レコーディング・エンジニア
リッチ・ブリーン - レコーディング・エンジニア
Doug Boehm - アシスタント・エンジニア
『PSYENCE』は、hideの音楽的な実験精神と多才な才能が発揮された、聴きごたえのある作品です。
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