PTC Creo Parametric

PTC Creo Parametric（ピーティーシー・クレオ・パラメトリック）は、アメリカのPTC社が開発・販売する製造業向けCADソフトウェアです。前身はPro/ENGINEERとして知られており、3次元ソリッドモデルによる設計を主軸としています。

概要

1980年代、2次元CADが設計現場に普及する一方で、製造業ではより複雑な形状や部品間の関係性を把握しやすい3次元CADへのニーズが高まりました。これに対応するため、CATIA V4やUnigraphicsといった、ワイヤーフレームやサーフェスで3次元形状を表現するCADが登場しました。しかし、これらの初期の3次元CADは、形状の変更や寸法の修正に柔軟に対応するのが難しく、また図面を代替する機能も不十分でした。

1986年からPTCが開発を開始したPro/ENGINEERは、ソリッドモデルによる3次元形状表現と、パラメトリックモデリングという寸法値に基づいた形状制御の手法を初めて3次元CADに取り入れました。この革新的なアプローチにより、Pro/ENGINEERは1996年にCAD業界の先駆者であったAutodesk社を売上高で上回り、業界を代表する存在となりました。

しかし、1993年にはPro/ENGINEERの開発エンジニアの一部がスピンオフし、操作性を向上させたSolidWorksを開発しました。これにより、機能は限定的であるものの比較的安価なミドルレンジ3次元CAD市場が生まれ、Pro/ENGINEERは市場の一部を奪われることとなります。これに対し、PTCは1998年にデータ管理ツールWindchillをリリースするなど、設計周辺機能を拡充し、ハイエンド総合設計ソリューションとしてのPro/ENGINEERを強化しました。さらに、2002年にはWildfireというサブタイトルを冠した製品にリニューアルし、複雑化した操作体系を刷新しながらも、高度なモデリング機能を維持するという大改革を行いました。

2005年以降、PTCは積極的な買収戦略に転じ、10社以上を買収しました。中には競合企業も含まれており、ミドルレンジCADのOneSpace Designerを保有するCoCreate Softwareもその一つでした。OneSpace Designerは現在、PTC Creo DirectとしてPTC Creoのラインナップに組み込まれています。

2010年10月、PTCは設計ソフトウェア「Creo」を発表しました。Pro/ENGINEERはCreoの一製品となり、「Creo Elements/Pro」へと名称が変更されました。

機能

PTC Creo Parametricの基本は、パラメトリック・フィーチャー・ベース・モデリングです。これにより、3次元ソリッドモデリングが可能となります。ソリッドモデルの外形形状データは、寸法値や他のソリッドとの関係性情報で保持されます。このため、寸法や関係を変更することで、容易に形状を編集できます。また、形状の追加や削除も自由に行えます。形状全体を一つの演算式として持つ必要がないため、編集作業中の形状計算待ち時間が発生しないのも特長です。

モジュールには、シェルモデラーやソリッドモデラーといった基本的なモデリング機能に加え、CAM、CAE、配管設計などの専門機能も搭載されています。

関連項目

Autodesk Inventor
SolidWorks
Solid Edge

外部リンク

PTC Website
* 日本PTC/USER会

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