SSG (パキスタン)

パキスタン陸軍特殊部隊SSG：山岳の精鋭、その歴史と活動

パキスタン陸軍特殊部隊SSG（Special Services Group）は、世界屈指の山岳戦専門特殊部隊として知られています。1950～60年代、アメリカ陸軍の支援を受けて創設されたSSGは、高度な訓練と豊富な経験から、世界中の特殊部隊の中でも高い評価を得ています。その活動は高度な機密事項に覆われていますが、公開されている情報から、その歴史と能力、そして装備を紐解いていきましょう。

誕生と発展：アメリカ軍との深いつながり

1953～54年、アメリカ陸軍の支援の下、パキスタン陸軍は特殊部隊の創設に着手しました。第19バルチ連隊第10大隊がその母体となり、チェラト（アトック市近郊）に新たな本部が置かれました。その後、1964年にはアメリカ陸軍特殊部隊群の訓練チームが派遣され、空挺学校が開校。部隊はSSGと改編され、砂漠、山岳、レンジャー、水中戦など、多様な専門性を有する24個中隊の組織へと発展していきました。

1970年代からはテロ対策も任務に加わり、ムサ中隊がその任に当たりました。アル＝ハラム・モスク占拠事件への派遣や、イギリス陸軍SASからの訓練を受けるなど、国際的な協力体制も構築されていきます。さらに、1986年にはスリランカ・コマンド連隊への訓練支援も行うなど、その活動範囲は広がりを見せました。

アフガニスタン戦争と現代

アフガニスタン戦争では、ムジャーヒディーンへの支援や秘密作戦に従事。ワジリスタン紛争における陸軍総司令部襲撃事件では、人質救出作戦を成功させ、その高い作戦遂行能力を改めて世界に示しました。2001年のアメリカ同時多発テロ事件後には、ウサーマ・ビン・ラーディンやアルカーイダ掃討を目的とした作戦にも関与したと推測されています。

2006年には、中国特殊部隊との合同演習「友情2006」が開催され、SSGの訓練風景が報道陣に公開されました。この演習は、両国の友好関係だけでなく、SSGの高い訓練レベルと国際的な連携能力を示すものとなりました。

組織と装備：精鋭部隊の構成

SSG本部は創設以来チェラトに置かれ、ペシャーワルには空挺学校が存在します。3個大隊体制で、1個大隊が核施設などの重要施設警備と国境警備を担当し、残る2個大隊とローテーション勤務を行います。各大隊は4個中隊、約700名から構成され、群長は大佐、大隊長は中佐が務めています。

装備は、AK-47、56式自動歩槍、81式自動歩槍、ステアーAUG、SIG SG552、M4カービン、H&K G3、H&K MP5、FN P90といったアサルトライフルやサブマシンガンに加え、ステアーSSG、H&K PSG1、ドラグノフ狙撃銃、バレットM82といった各種狙撃銃、グロック17、H&K P7などの拳銃など、多様な兵器を運用しています。

海軍特殊部隊SSGN

なお、パキスタン海軍にもSSGN（Special Services Group Navy）という特殊部隊が存在します。SSGと同様、高度な特殊作戦能力を有する部隊とみられていますが、その詳細は公開されていません。

まとめ：謎に包まれた精鋭部隊

パキスタン陸軍特殊部隊SSGは、その活動内容の多くが秘密に包まれたままですが、アメリカ軍との深い連携、山岳戦における高い能力、そしてテロ対策や国際的な作戦への関与など、その存在感は計り知れません。今後もその活動は、世界情勢に大きな影響を与え続けるものと考えられます。

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