STS-51-I

STS-51-I：ディスカバリー6回目の飛行 - 3つの通信衛星の軌道投入とシンコムIV-3の救出

STS-51-Iは、アメリカ航空宇宙局（NASA）のスペースシャトル計画における20回目のミッションであり、ディスカバリーにとっては6回目の宇宙飛行でした。1985年8月27日にケネディ宇宙センターから打ち上げられ、7日間のミッションを終えてエドワーズ空軍基地に着陸しました。

ミッションの概要

このミッションの主要な目的は、3つの商業通信衛星の軌道投入と、1985年4月のSTS-51-Dミッションで展開された後に故障したシンコムIV-3衛星の回収と修理でした。乗組員は、船長のジョー・エングル、操縦手のリチャード・コヴィー、ミッションスペシャリストのジェームズ・ファン・ホーフェン、ジョン・M・ラウンジ、ウィリアム・フレデリック・フィッシャーの5名でした。

通信衛星の展開

打ち上げ初日の8月27日には、オーストラリアのオーサット1号とアメリカ合衆国の衛星企業ASC1号が、2日後にはヒューズ・エアクラフトが建設し、アメリカ国防総省に貸与したシンコムIV-4が展開されました。これらの衛星はすべて計画通りに対地同期軌道に入り、運用を開始しました。

シンコムIV-3の修理

ミッション5日目、フィッシャーとファン・ホーフェンはシンコムIV-3の修理を開始しました。当初、シャトル・リモート・マニピュレータ・システムの関節部の不調により作業は遅れましたが、2度目の船外活動で、衛星のコントロールレバーが修理され、地上からのコマンドで再起動され、元の対地同期軌道に戻すことに成功しました。この2度の船外活動は合計11時間27分に及びました。

ミッションの詳細

打上げ日時: 1985年8月27日 6時58分(EDT)
着陸日時: 1985年9月3日 6時16分(PDT)
着陸場所: エドワーズ空軍基地 第23滑走路
飛行時間: 7日2時間18分42秒
地球周回数: 111周

船外活動 (EVA)

1回目: 1985年8月31日 (7時間20分)
2回目: 1985年9月1日 (4時間26分)

軌道パラメータ

近点: 350 km
遠点: 465 km
軌道傾斜角: 28.5°
* 軌道周期: 92分

ミッションの意義

STS-51-Iミッションは、スペースシャトルの商業衛星の打ち上げ能力を示すとともに、宇宙空間での修理技術の可能性を実証しました。特に、シンコムIV-3の修理は、宇宙飛行士の技術力とNASAのミッション遂行能力の高さを世界に示す出来事となりました。

まとめ

STS-51-Iは、スペースシャトル計画における重要なミッションの一つであり、その成功は、宇宙開発の新たな可能性を拓きました。3つの通信衛星の軌道投入と、故障したシンコムIV-3衛星の回収・修理は、宇宙技術の進歩と、宇宙飛行士たちの勇気と技術によって成し遂げられた偉業として、記憶されることでしょう。

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